2006年6月24日(土)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十三日】「国民の支持によりルーラ再出馬」のスローガンを掲げたルーラ大統領は二十二日、次期大統領選の立候補を二十四日に正式に届け出る意向を表明した。政局運営で蚊帳の外にあることを不満としていたジョゼ・アレンカール副大統領(ブラジル共和党=PRB)と、最終的にコンビを組むことになった。大統領の打診に先立ち副大統領が、普段は用のない盲腸的な取り扱いにうっ積した不満を爆発させた。前回の大統領選同様、副候補の膳が四党へ先に回り、食い手がなくお裾分けとなったことが内心不快であったようだ。まるで補欠の女である。
正副大統領の会談は、二人にしか通じないべらんめえ言葉で交わされた。会談結果は、日本対ブラジルのサッカーを観戦しながらの、連立与党党首や元閣僚らへの事後報告となった。
ブラジル社会党(PSB)党首のカンポス下議とゴーメス元社会統合相に副候補の噂があり、政局運営に参加するはずであった。しかし、正式に打診はなかった。労働者党(PT)の最大票田であるミナス・ジェライス州のスポンサーが、PTがアレンカール氏を継子扱いにしていると警告した。
連立与党は、副大統領への招待有無にかかわらず協力の意向を示した。だが問題は副云々ではない。連立与党が存続する上で抱える問題は、選挙法に規定された有効票の五%を各党が確保できるかだ。それが九つの州では二%にしか達していない。二〇〇七年以降の党の存続が問われている。
党によってはPTと内縁関係にあっても、PTにすがらずを得ない事情がある。二十四日のPT党大会にスピーチの指名を受けることは、弱小連立与党にとって死活問題らしい。
ベルゾイニPT党首が、PSBとブラジル共産党(PCdoB)について、正式な連立関係如何にかかわらず、これまで協力しあった実績を認めた。然るにPRBはアレンカール氏の不満爆発で議論の余地があるという。副大統領は実直、悪意のない愛すべき人物なので大目に見てきたというのだ。
PT党大会は、ベロ・オリゾンテ市のテニス・クラブで開催される。ルーラ大統領にとっては五回目の大統領選となる。今回は一次当確予想の中での選挙だ。「貧乏人の味方」を看板に大衆迎合が売り物である。選挙参謀はジョアン・サンターナ氏。
公務員への違法ベアなどで先手を打たれた野党ブラジル民主社会党(PSDB)は、アウキミン候補も貧乏人の出身であることを強調する。「ルーラはうそつきだが、アウキミンは正直」お手本はクビチェック元大統領。ルーラ大統領の個人攻撃は避け、PTの欺まんをチクチクと暴くらしい。
アウキミン候補は、連立関係にある自由前線党(PFL)と歩調が合わないようだ。PFLから指名されたジョルジ副大統領候補は、ルーラ大統領を「東北伯出身の無頼漢」と差別発言ともとれる呼び方をした。マガリャンエス上議はPTを「泥棒学科の教授たち」と位置付けした。PSDBとPFLは、選挙戦が本格化したら、協調しないとTVの選挙宣伝が散発的になりかねない。