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ブラジルに帰国できない?=ヴァリグ便運航停止続く=利用客2万8千人に影響

2006年6月24日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十三日】存続か死かで連日話題となっているヴァリグ航空だが、国際路線の七〇%の運航停止を決定したことで、全世界に散らばるエアチケット購入済の予約客がブラジルに帰国するめどが立たず、社会問題に発展する懸念が出ている。
 民間航空省が明らかにしたところでは、今月三十日までに帰国する予定でヴァリグ航空発行のチケットを購入したのは二万八〇〇〇人に上り、帰国のめどが立たず余分な出費がかさむことなどからパニックに陥ると同省は危惧している。
 このうち一万三〇〇〇人は、サッカーのワールドカップがドイツで開催中のことから、ヨーロッパに集中しており五六〇〇人が帰国の予約を入れている。さらに四〇〇〇人は北米地区で、残り一万八〇〇〇人は中南米諸国に散らばっている。
 なかでも深刻なのがアメリカにいる人らで、同航空が航空機リース料不払いのため、同国に乗入れると航空機が差押え(実際には同国の所有者が自社航空機を取戻す措置)になることから運航を全面停止し、再開のめども立っていない。
 さらに他社ではヴァリグのチケットのエンド―スに応じないとの立場を取っており、利用客は新たにチケットを購入しなればならない。ヴァリグの現状では払戻しに応じることは不可能で、現在手持ちのチケットは紙くず同様になりかねない。
 民間航空も統轄する国防省は、最悪の事態に備えて一六〇人乗りのボーイング機二機を外国に派遣し、ブラジル人の収容に当る決定を下し、リオデジャネイロ市のガレオン空港に待機させている。
 国防相はヴァリグ倒産が決定した時点で国家救済策とするが、それまでは企業の問題として静観するとの立場を取っている。
 二十二日午前〇時から午後一時まで、一八九便のうち六二%に相当する、一一八便がキャンセルとなった。国内線は一五七便のうち九五便、国際線は三二便だった。
 この影響でラテンアメリカ最大の国際空港のクンビッカ空港は未曽有の混乱に陥った。他航空の便の空席を求めてカウンターはごった返しとなり、待合室はベンチや床で横になる人らで立錐の余地もない程。
 利用客らはヒットしたスピルバーグ監督のアメリカ映画〝ターミナル〟そのものだと苦笑いしていた。同映画はニューヨークのケネディ空港で入国を拒否された主人公が空港内で数日過した苦労を描写した。搭乗客にとって、まさに〝エアポート・インフェルノ〟だった。