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ヴァリグ競売、振り出しに=従業員団の落札は無効=ヴァリグログが買収の意向

2006年6月27日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日】ヴァリグ航空が申請した会社更正法の管財人であるリオデジャネイロ地裁のアヨウビ判事は二十三日、同航空売却の入札で唯一応じたTGV(ヴァリグ従業員グループ)に対し、落札無効の最終決定を言い渡した。
 政府筋は国内外のライバル会社が一同に入札に参加するものと期待していたが、同航空の負債が大きいことから一様に断念、結局はTGVが入札に参加したにとどまった。しかも入札条件の最低価格の半額に満たない四億八五〇〇万ドルだったことで、落札の権利から外されていた。しかし同航空の存続を模索してきた民間航空局は、最終判断を管財人に一任していた。
 TGV内部でも資金の出所が不透明なことが取りざたされていたが、管財人も同様で、このため二十三日までに資金源を明らかにすることと、手付金として七五〇〇万ドルの法定積立を命じた。しかしいずれも実行されなかったことから落札の資格はく奪となった。
 TGV社幹部は、出資者との話し合いが不調に終わったと供述している。管理人グループ筋によると、出資を約束した一人はヴァリグログ(ヴァリグの貨物輸送などの営業権を買収し傘下になっていた)の元社長だが、入札後は音さたがなく、ポーカーのブレフ的要素が強かったとみている。
 これにより従業員らによる再建の夢は断たれ、振出しに逆戻りした。ここにきて浮上してきたのが前出のヴァリグログで、五億ドルで買収の意向を示している。管財人は同社との話し合いを進めているが、これが実現すると、再度入札が行われる運びとなる。
 ヴァリグログは米国資本のため、航空法では二〇%以上の株を保有している外資が航空会社の営業を行うことを禁止しているので、傍系のヴォロ社が応札するものとみられている。
 ヴァリグの運航停止で国内外の空港は相変わらず混乱を見せている、同航空によると、混乱は一時的なものだとし打開策が実行されると平静に戻ると楽観視している。
 国際航空協定に加盟している二十社のうち、ヴァリグのエンドースを拒否しているのは、JALや大韓航空などの十一社のみだという。ただ今の時期は満席が続いており、エンド―スでの空席探しは困難を極めるとしている。
 ピーレス国防相は民間航空局に対し、各国の航空会社にヴァリグのチケットへのエンド―スに応じる様、要請をすることを命じた。最悪、政府の連帯保証人も辞さないとの態度を表明している。
 現在世界各国でヴァリグのチケットを有しているのは三万人とみられており、とくにサッカーのワールドカップでブラジル代表が二十七日の試合で敗れたら、観戦者の帰国ラッシュでパニックに陥ることを危惧している。