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世界の金融市場再び動揺=米政策金利めぐり=FRB新議長のサイン読めず=ブラジルなど外資流出懸念

2006年6月29日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】米連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利決定を巡って金融市場が二十七日、止め処なく動揺した。世界の金融市場は不安定感が支配し、経済動向は下半期に下降傾向とみられている。株は同時安、途上国は全般にカントリーリスクを引き上げた。サンパウロ市証券市場は、外国の影響を受けまいと努力したが、力尽きて株価指数を〇・七四%も下げた。ブラジル対ガーナ戦の最中は活気があったが、結局三万五〇〇〇ポイントから三万四三七五ポイントに下げた。ドルは〇・三一%上げ、二・二三八レアルとした。
 世界の金融市場が動揺した原因は、グリーンスパン前議長と交代したバーナンキ議長の優柔不断にあるといえそうだ。ラテンアメリカを見るとアルゼンチンが一・三八%、メキシコが二・五四%下げた。途上国のカントリーリスクは、平均で一・二九%上げ二三五ポイントとしたのに、ブラジルは輪を掛け二・三%も上げた。
 バーナンキ議長のサインが市場関係者はよく分からず、イライラしている。二十九日にFRBが政策金利を五・二五%にするか五・五%にするかではなく、引き上げを継続して六%以上にするかどうかが市場関係者の懸念である。この優柔不断のため資金の行方が決まらず、投資家の決断を迷わせている。
 予想以上の米金利引き上げがあれば、米国とともに世界経済も冷え込む。投資資金はリスクを避けて、より安全な米国債へ流れを変える。ブラジルなどは、特に資金の流出が激しくなる。しかし、他の途上国トルコや南アフリカ、ハンガリーと比較するなら、ブラジルは外貨準備があるので当分は安泰のようだ。
 大量に外資が流出したトルコの中銀は六月、基本金利を二回にわたって上げ、合計で四%も引き上げた。途上国の財政状態はどこも一枚岩ではない。トルコは財政赤字が六・五%に達し、南アフリカは六・四%の赤字である。ブラジルは涙ぐましい努力をした甲斐あって、財政赤字で泣いた時代とは隔世の感がある。これはマクロ政策と経済基盤安定の賜物といえる。
 米経済のクシャミは、ブラジルにとって発熱まで行かなくとも関心は深い。米財務省が二十七日に発表した経済指標は、不動産取引の減少と消費者の長期ローン取り付け、現状引き締めを提示している。米経済の不確定性がさらに明らかになったといえる。
 米国の消費者クレジット調査では、五月の一〇四・七ポイントが六月一〇五・七ポイントへ上昇した。これは短期ローンを敬遠するものの、市民が米経済の未来に夢を託したと思われる。短期ローンの二カ月連続の減少は、経済成長が最近緩慢になったのを肌に感じたものと思われる。
 米国の不動産業界は、抵当物件が増え、不動産ブームのバブル崩壊が明白である。四月から五月にかけて中古住宅の売上げは、一・二%減った。売上げ戸数は六六七万戸と昨年同期比で六・六%減。過熱気味であった不動産が普通の状態に戻ったのだ。高金利時代に入ったため、景気の牽引車であった不動産が軟着陸したといえる。