2006年6月29日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】PCC(州都第一コマンド)が新たに不穏な動きを見せている。二十六日未明にサンベルナルド・ド・カンポ未決囚刑務所襲撃が未遂に終わり、メンバー十三人が射殺されたことで、報復措置に出るものとみて、サンパウロ州保安局は全州にわたり警戒態勢を敷いた。
当局はPCCメンバーの電話のやり取りを盗聴し、服役しているPCC幹部らが当局に対し、かなり大規模な〝戦争〟を仕掛けるものとみている。
電話で幹部らはメンバーに対し、地区ならびにファベーラ毎の責任者、および麻薬密売スポットのジェレンテ(マネージャー)らの名前と住所、電話番号のリスト作成を命じた。その上で、構成員の人数と緊急連絡手段を明確にしておくことも命じた。
さらに予備軍と呼ばれる準構成員の正確な数を把握することとした。いっぽうでシャバにいる構成員に対し、毎月の上納金をこれまでの六〇〇レアルから一〇〇〇レアルに引き上げた。
これによりこれまでの襲撃事件で死亡した〝兄弟〟(仲間)の妻らに毎月、セスタ・バジカ(日用必需品)を支給するよう支持し、その家族構成のリスト作りも命じた。セスタ・バジカは値段の安い問屋で買うようにと細かい点まで指示している。さらに上納金の余剰金は会計で保管して、非常時に使用することとした。
サンベルナルド・ド・カンポ刑務所襲撃は部分的な〝小手調べ〟的要素が強く、一斉蜂起に当らないと当局はみている。電話のやりとりからすると、幹部らは五月十二日からの一連の襲撃事件で、同地区メンバーの動きが鈍かったことに不満を持っており、そのために単独で襲撃を命じたという。
いっぽうで、プレジデンテ・プルデンテ、リベイロン・プレト、サンジョゼ・ド・リオ・プレトの三刑務所でも襲撃の動きがあったが、なぜ事前になって中止されたかは解明されていない。
州当局は全ての警察署に対し、車両通行止めにするなどの警戒態勢を命じた。いっぽう刑務所の看守をはじめとする職員への武器の携行を決定した。法律ではこのカテゴリーの武器所有を禁止しているが、彼らは背に腹は変えられぬとしている。