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カンポグランデ=企業の広告がたくさん=ピッキー俳句会、異色の句集=高齢、残された時間で精一杯作句=「作品を移民史の1ページに」

2006年6月30日(金)

 カンポグランデ市(南マ州)のピッキー俳句会(会員二十一人)が、このほど句集(二)を発行した。会員みんなで手づくりをしたA5版百十八ページ(うちポ語六ページ)。「会員は高齢化しているので、残された時間を精一杯作品に表して、移民史の一ページに残したい」(会員の笹谷蘭峯さん)という気持ちがあふれている句集だ。百十八ページの始めから終わりまで工夫がみられる。句会誌には珍しいほど企業の広告をとっている。それが、広告主が経営している牧場、店舗や家族の写真というユニークさ。他の句会が句集を出すときの参考になるだろう。
 句集(二)は、二〇〇〇年の第一集につぐ二冊目の発行。この五年間に仲間二人が死去、三人が転居した。四人の新規加入があって現在会員は二十一人。最年長は谷口文太郎さん九十五歳、平均年齢七十七歳。今のうちに第二句集を出し、佳句を残したいというのは、会員の総意だった。二〇〇〇年から二〇〇五年までの、会員の作品三百句のなかから、一人につき二十句を選び、死去した人と転居した人のは一人三句ずつ収録掲載した。
 会員の二十句には「題」がつけられ、号と年齢、電話番号さらに顔写真が紹介された。ルバング島から奇跡的な生還をした元日本陸軍軍人・小野田寛郎さん(83、牧場経営)も会員の一人だ。
 笹谷さんは自負している。「会員の句のなかにはブラジル、特にマットグロッソ州ならではの佳句がたくさんある。老移民の故郷を恋う切々なる思いの句もある」。俳句のほか、収録されたのは会員十一人の随想、秋枝つね子さんの詩。
 発行にあたっての仕事分担は、選句を笹谷さん、筆による清書は谷口広治さん、ワープロが成戸浪居さんと宍戸裕雄さん、挿絵が西南州さん、そして外交と発行資金捻出は粉川涼村さんだ。
 企業の広告は写真によるものだ。カンポグランデ市および周辺の町のグランジャ、牧場、バザール、レストラン、ガソリン・スタンドなど。必ず家族の写真が添えられており、なかには、家族四代が〃初代家長〃夫妻の金婚式に集まった際の記念写真もある。広告担当が、句集が孫の代々先までも本棚に残ればいい、と考えて、「家族写真」出稿をすすめた。広告代金は制作使用に充てられた。
 句集(二)の中から最高齢会員、谷口さんの「小春日」の一句。
 夏痩せも休むはならず吾れ百姓