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にぎやかに民謡の祭典=琉球民謡保存会=老若男女200人が十八番披露

2006年6月30日(金)

 琉球民謡保存会ブラジル支部が主催する「第二回琉球民謡の祭典―十八番大会」が二十五日午後、沖縄県人会ホールで開かれた。三十一のグループ、個人が出場して、自身の十八番を熱唱。琉球舞踊協会による踊りも披露されるなど、訪れた人はにぎやかな一日を楽しんでいた。
 昨年にそれまでのコンクール形式から発展して開催された民謡の祭典。今年はサントアンドレ、ビラ・カロンなど市内、近郊各支部をはじめ、イタリリ、サントス、カンピーナスなど遠方から、新人、ベテラン約二百人が出場した。
 催しは予定の午後一時から少し遅れて始まり、冒頭、戦没者に対して一分間の黙祷。民謡保存会の大城文正支部長は、会員、関係者に謝意を表すとともに、「二世、三世の代になってもますます民謡が盛んになり、ブラジルの環境に浸透し、ブラジルの民族音楽として普及していくことを期待しています」とあいさつ。山城正広実行委員長に続いて、県人会の与儀昭雄会長が祝辞を述べた。
 出場者全員が舞台に上がり、恒例の祝節、めでたい節、安里屋ユンタを合唱して幕開け。
 序盤で注目を集めたのは、イタリリ・グループ。同地では近年、沖縄系に限らず非日系のブラジル人にも沖縄民謡を広めている。三線(沖縄三味線)の演奏を覚える前に沖縄方言の歌詞の意味を教えるところから始める熱の入れようだ。
 この日も、出場した七人のうち五人が非日系の少年少女。三人がそれぞれ、島情、安波節、南の島を独唱。沖縄方言で歌う姿に来場者から大きな拍手が送られた。
 他のグループもあわせ、この日出場した非日系の民謡愛好者は十三人。ブラジル社会に沖縄文化を広めようとする関係者の意気込みを感じさせた。
 昨年に続き、今年も琉球舞踊協会が協力。八人が出演して、舞や歌劇を披露した。昨年県費留学生として沖縄芸術大学で琉舞を学び、母県の琉球芸能コンクールで優秀賞を獲得した斉藤悟さん(19、三世)も出演。歌劇「西門節(にしんじょうぶし)」「ひじ小節(ひじぐぁーぶし)」を披露した。
 「緊張しましたか?」と本紙の取材に対し「イヤ!怖かったです」と語る斉藤さんだが、堂々と舞台をつとめていた。中でも男女の掛け合いによる「ひじ小節」に女形で登場すると、そのコミカルな演技に会場は沸いた。
 老若男女の歌い手が一堂に会したこの日の祭典。九三歳の照屋マリオさんもサントスから元気に出場して二曲を披露した。歌の合間にはさんだ沖縄方言の語りに会場から大きな拍手が上がっていた。
 午後一時半にはじまった祭典が終わったのは午後八時半近く。会場は終日、百人以上の来場者でにぎわった。最後は恒例のカチャーシを踊って「第二回琉球民謡の祭典」は幕を閉じた。
 祭典終了後、山城実行委員長は、「来年は、舞踊を研究して、皆に好まれるようなステージを見せたい。特に歌劇や寸劇をなども今回以上に増やしたい」と意気込みを示した。
 大城支部長も「第一回の時は問題が続出したけど、今回は舞踊の先生達の協力を得ていいステージになりました。来年も今年以上に盛り上げたい」と話していた。