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サッカーW杯=伯代表、仏に敗れる=98年の悪夢再現=悲しみと非難にくれる国民

2006年7月4日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二日、三日】一日に行われたサッカーのワールドカップ八強戦でブラジル代表がフランスに敗れたことで、一九九八年の悪夢が再び現実のものとなった。サッカー王国の面目にかけても九八年にフランスに敗れて優勝を逸した雪辱を果たさんと国をあげて応援したにもかかわらず、またもやその悲願は打ち砕かれた。
 試合終了とともにサンパウロ市アニャンガバウー広場に設置された大型スクリーンで観戦していた四万人以上の群衆から悲鳴に似た声が上がり、あちこちで泣きだす姿が見られた。リオデジャネイロ市のコパカバーナ区も同様で、フランスの唯一の得点となったヘンリーのゴールが決まると信じられないものを見るように一斉に頭をかかえていた。
 レシフェ市では路上に座り込んで泣きじゃくる姿も。ベロ・オリゾンテ市では無数のブラジル国旗に火をつけてウップンを晴らしていた。敗戦のショックで緩慢なプレーを繰り広げた選手団への非難から、パレイラ監督の選手起用へと、国民一億総解説者の如く論戦が展開された。ほとんどの見方はフランスの好プレーを認め、あれでブラジルが勝っていたらフランスが気の毒だとの声も聞かれた。
 フランクフルト市の試合会場のブラジル人応援団は、試合開始直後からフランス代表の司令塔のジダン選手に対し〃トマ・ノ・クー〃(ブラジルでは最低の罵倒用語)コールの大合唱となったが、試合が経過するにつれ、それはパレイラ監督に向けられていった。とくにミスプレーが目立ったキャプテンのカフーやカカー、ひいては世界ナンバーワンのロナウジーニョ・ガウショの交代を求めるものだった。
 試合後パレイラ監督は記者会見で、非を認めてワールドカップで実力を一〇〇%発揮できるのは至難の業だとして選手を非難しないよう国民の理解を求めた。席上同監督は、代表監督を辞任することを表明した。
 試合終了後ロッカールームに引き揚げた選手らは悲しみに包まれ、さながら葬式の通夜の席だったという。選手団を乗せたバスが会場を出るときと、宿泊先のホテルに着くと応援団が〃恥じ知らず〃とののしる声が響いた。このため警官隊が出動して整理に当たった。
 選手団は一部の居残り組のほか、三日午前五時半にサンパウロ市に、続いて八時半にリオ市に帰国した。これでブラジル国内でのワールドカップの火は消え、六度目の制覇の夢は次回二〇一〇年大会に持ち越された。