国家隆盛のカギは創造性=試練期にあるブラジル=生産性だけではいつか没落=中国とインドも低迷期へ
2006年7月5日(水)
【ヴェージャ誌一九六二号】英国の歴史学者ポール・ジョンソン氏が著書「創造者」の出版記念で来伯した。同氏はブラジルに「中国やインドのように生産性だけで創造性がないなら、すぐに産業が低迷する」と警告した。ブラジルは今、創造性への過度期にある。米国に追いつけ追い越せといった往年の日本がそのよい例である。国家の隆盛を約束するのは、民族が有する創造性の有無だという。創造性は進歩の必須であるが、人間は科学的証明を求める否定的要素があり、創造性にブレーキを掛ける癖があるという。
以下は同氏との一問一答である。
【中国やインドは創造性が劣るか】両国は現時点までは、創造性に富んだ目新しいものを生んでいない。技術革新でも成果を見ない。これまでに技術開発したものを単に反復しているに過ぎない。中国は古びた設備と超安の人件費を使って重工業を起こし、超スピードの資金回収で儲けている。インドはコール・センターで、米国のマネをしているだけ。
米国に追いついた日本が模範とするものがなく、産業が低迷した時代があった。中国やインドも間もなく低迷期に入る。単なる価格破壊の生産なら、アフリカが出番を待っている。ブラジルも創造性の時代に入り、試練期にある。独自の技術革新で産業革命を起こせるか、ブラジルが試されているのだ。
【中国とインドでは、どちらが将来有望か】インド。インドには自由があるから有望。考える自由があるところに、創造性が生まれる。インドにはカースト制度があるが、英語を流ちょうに話すエリートがいることも有利。これによって工業生産から情報産業へ飛躍させる可能性ができた。インドのシリコンバレーのバンガローは、二十一世紀に足を踏み込んでいる。インドは、非常に遅れたところと進んだところが混在している。ブラジルも、他山の石として学ぶべきだ。
【自由抑圧の中国が、なぜ自由なブラジルより活発なのか】毛思想のマルキシズムから解放されただけで、共産主義が解体されないかぎり中国はブラジルの競争相手ではない。中国経済は奴隷制度の上に成り立っているようなもの。軍拡に資金をつぎ込むが、技術投資はしない。ソ連の過ちを繰り返している。創造的な革新社会を育てず、共産党エリート階級が介在し、発展を妨げている。
【ブラジル経済が低迷する理由】ブラジルの難点は、歴史に原因がある。植民地時代の否定的で非建設的な習慣がそのまま政治的、経済的、社会的な無秩序として継承されている。ブラジル発見以来、ワシントンやジェファーソンに代表されるような、創造性と具体性に富んだグループ社会が歴史の舞台に登場しなかった。
ブラジルは現在に至るまで、社会的に不安定で下層階級には自由が制限されている。韓国や台湾に見るような理想国家を築く人材育成の学校教育が行われていない。ブラジルの最高学府に学んでも、ブラジルのエリートは私腹を肥やすことしか考えない。
【なぜ人間は、科学的証明を気にして尻込みするのか】臆病なのだ。科学的に証明できないことを唱える人間を狂人か魔術師扱いした時代が長く続いたから。例えば長い間、原子力を代替エネルギーとして利用する勇気がなかった。欧米では人的被害を心配し、原発の建設を反対した。原子力を有効に利用していたら、中国やインドの工業発展にエネルギーを十分まかない、原油暴騰を招かずに済んでいた。