2006年7月6日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙五日】ベネズエラがメルコスルに正式に加盟したことで、同国の首都カラカスで四日、セレモニーが行われた。これには加盟国のブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイの各首脳が列席した。
関係者はベネズエラの加盟でメルコスルは先行き変貌を遂げるとの見方で一致している。ベネズエラのチャベス大統領はこれまで反米姿勢を強硬に打ち出しており、さらに昨年から爆発的な高騰を続けてきた原油価格にともない、いわゆる石油ドルで財政が潤っていることから南米諸国に投資を重ねてきた。一部では南米の異端児とも寵児とも呼ばれ、南米諸国のリーダーの座を狙っている。
これに反発してきたのが、これまで自他ともにリーダーを自負してきたブラジルだ。今回の正式加盟でルーラ大統領に近い筋は、チャベス大統領を身近に置いて共同戦線を張りながらもけん制する動きを取った方が得策だと政府が発想を転換したとみている。これまでのルーラ大統領の批判は犬の遠吠えにすぎなかったことを認識したとしている。
セレモニーの演説でルーラ大統領はこの確執をおくびにも出さず、チャベス大統領を「親愛なる仲間」と呼び、加盟を歓迎した。またベネズエラに急接近を計っているボリビアのモラレス大統領を「アミーゴ」と呼んだ。
その上でベネズエラのメルコスル加盟は経済発展の源になるとの認識を示した上で、同国が国連安保理理事国に立候補することを支持すると持ち上げた。安保理は南米地域にそっぽを向いており、南米諸国から理事国入りすることは不可欠だと言及した。
いっぽうでチャベス大統領は席上、南米諸国への財政支援と技術提供は今後も続けていくとした上で、とりあえずパラグアイに対し、一億ドルの国債ボンドを購入することを約束した。
パラグアイ政府はブラジル政府に対し、イタイプー発電所の負債一九〇億ドルの一部肩代りを求めたにもかかわらず応じなかったことで非難声明を発表していた。ベネズエラの支援は不協和音を取除くのが狙い。
チャベス大統領はこのほか、メルコスル加盟国に総額六二億ドルの投資を発表している。あり余る石油ドルで支援する見返りに、政治的バックアップを取付けるのが目的とされている。