2006年7月7日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】国連は三日に発表した今年度の世界環境白書の中で、浄水設備が改善されていないことを指摘し、各国政府に注意を促した。
とくに発展途上国の平均では下水設備が完備しているのは五〇%に過ぎず、国連が定めた目標の二〇一五年までの六八%達成は至難の業だとみている。一九九〇年代では三五%だったことから、十五年で一五%しか改善されていない。この目標は二〇〇〇年に一八九カ国が協議して定めたもの。
各国の細目にわたる調査は未発表だが、ブラジルは二〇〇二年の時点で七五%だった。一九九〇年は七〇%だったことで、このまま推移すると目標の八五%達成はおぼつかないとしている。いっぽうで上水道については都心部では九一%から一〇〇%でほぼ完備の状態だが、農村部では五〇%から七五%となっており今後の課題だと指摘している。
これを裏付けるようにブラジリア大学研究グループは、ブラジリアでは八四%なのに対し、隣接するゴイアス州、ヴァルパライゾ市ではわずか二二%で格差が顕著である。これにより不衛生な地区で発生した疫病などは、別の地区に伝染しやすいとしている。デング熱を媒体する蚊や種々の病原菌を運ぶネズミなどには市町村の境がないと警戒を呼びかけている。
下水のいわゆるタレ流しは下痢、熱、アレルギーの原因となることで、国連では保健衛生で最も重要だと取り上げている。世界で下水設備が最も遅れているのがアフリカの三七%(二〇一五年の目標は六六%)、次いで南アジアの三八%(同六〇%)となっている。ラテンアメリカ圏はレベルの高い方で、七七%(同八四%)。