2006年7月11日(火)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙九日】調査会社ダッタフォーリャは八日、現政権下において低所得層DEクラスの六〇〇万人が、所得向上によりCクラス入りの感触を抱いていると発表した。有権者の約半分の四九%が、家計の状況が良くなるとみており、薄給を訴える者は一九九四年以来最低の二八%となった。現政権発足時は四五%であった。調査はさらに六月二十九日、二八二八人に大統領選の予想行動調査を実施した。四六%はルーラ候補に、二九%がアウキミン候補へ投票の意向を表明した。
所得クラスは世帯当たりの所得により、AB(最低賃金の五倍以上が四八%を占める)、C(同三倍以下が六八%)、DE(同二倍以下が八六%)と分類される。
ルーラ大統領は、所得が向上したと答えた六〇〇万人の支持票を獲得したといえそうだ。二〇〇三年以来、低所得層で生活改善の手応えがあったようだ。四九%は将来に夢を抱き、三七%は美味しいものが食べられるようになったという。
低所得層への予算交付が功を奏したとみられる。反面インフラ投資はなおざりにされ、大衆迎合による無計画な政治運営に疑問が持たれている。全般の所得向上は、金融投機でもそこそこの結果が出ていることで明白だ。
選挙年での点数稼ぎ策は、ルーラ候補を一次投票で当確の勢いにさせた。所得層の分布変化は、DE層が四六%から三八%に減少、C層が三二%から四〇%に増加、A層は二〇%から二二%へ微増。C・DE層のルーラ支持は四四%と五四%と圧倒的である。AB層は三四%。
将来について四九%が楽観視、三七%が現状維持。現在については普通が五〇%、二二%が満足、不満が二八%。自宅を修繕すると応えたのは、ABクラスの回答者の四六%。DEクラスは二一%。ルーラ支持者だけでは三四%。
不労所得と勤労所得では二〇〇一年から〇四年まで、低所得層の国民二〇%が得る月給は一九・二%のベアがあったのみ。それに対しルーラ大統領など富裕層の国民一〇%の不労所得は、六五・八%も利回りがあった。労働者が身を削って稼ぐ勤労所得は、一〇%の富裕階級が地上の楽園で稼ぐ不労所得の三〇%にも満たない。
ブラジルの富裕階級が稼ぐ金融投機などの不労所得は、中国の富裕階級が稼ぐ所得の三倍である。しかし、ブラジル国民の一〇%といわれる底辺クラスの所得は、最低賃金の調整と生活扶助制度により二三・三%向上した。
勤労所得と富裕階級の不労所得、底辺クラスへの政府交付金の間には、大きなバラ付きがある。過去十年間を遡ると、富裕階級の受け取り金利と配当金、家賃収入などは、勤労所得の四・九倍にも上っている。
ルーラ政権が儲けさせてくれたのは、貧乏人だけではない。政府は、国債の金利支払のために八〇〇億レアルをつぎ込むと発表した。国債を持っている人は、政府の高金利政策のために笑いが止まらない。国債の金利は、GDP(国内総生産)の三六・五%という血税から支払われる。大統領の金融投資四七万四六〇〇レアルは、毎月最低賃金の十倍を貰える計算だ。