2006年7月11日(火)
パラナ州マンダガリの盆栽センターで一日と二日、ブラジル盆栽展(Encontro National do Bonsai)が開かれた。講師と一般をあわせた参加者は約七十人。全伯各地から集まった盆栽家を中心にアルゼンチン、イタリア、ドイツからも講師を迎え、二日間デモンストレーション、ワークショップ、新人対象のコンクールなどが行われた。
久しぶりに会う仲間同士の交歓の場となった会場は、盆栽の落ち着いたイメージからすれば意外と思えるような賑やかな雰囲気に満ちていた。しかし、いったんデモンストレーションが始まると、参加者のまなざしは真剣さを増し、熱心にメモをとり、カメラを向ける姿が見られた。
イタリア語、スペイン語、日本語、英語と各国語が飛び交うさまからは、盆栽の国際化を感じさせられた。
今年で十回目の節目を迎えたこの集まりは、作品を持ち寄って鑑賞しあう展覧会とは異なり、ブラジル盆栽のレベルアップと普及のための指導者育成という目的をもって開かれている。
盆栽が広く受け容れられるようになるとともに、現在では、手軽な売り買い用に、専門家には認められない代物も市場に出回るようになっているという。
「ニセモノ」を排除し、盆栽の真髄を伝えるためには良い指導者の存在が不可欠――そうした考えにたって盆栽展を主宰してきたのは、マンダガリで電気部品会社を経営するヴィセンチ・ロマギノーレさん。盆栽センターのオーナーだ。
三十年ほど前、仕事のストレスから体調を崩したとき、医者から気分転換になる趣味を持つことをすすめられたことが盆栽と出会うきっかけになった。十年前、仲間を集めてはじめて盆栽展を開き、ここまで育ててきた。やり方を少しずつ手直ししながら、今後も継続していくつもりだという。
意外なのは、日系人の参加者がわずかしかいないこと。イタリア系三世のヴィセンチさんも「われわれはイタリアの文化を身につけた上で、日本文化である盆栽の素晴らしさを理解し、学ぼうとしている」と考え、日系人が盆栽にあまり関心を示さないことを残念に感じている。
講師として参加した日本人盆栽家は、「いずれブラジル日系社会から盆栽はなくなるかもしれない。しかしいったん途切れても、日本人の血が流れている以上また復活するのではないか」と話す。
ヴィセンチさんや参加者からは情熱があふれている。いずれ日系社会に盆栽が〃復活〃したとき、その先生はブラジル人盆栽家になるかもしれないと思わせるような熱意が感じられた。