2006年7月12日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十一日】ペトロブラスが設備の接収をめぐりボリビア石油公団と係争中にもかかわらず、政府は十日、社会経済開発銀行(BNDES)を通じてボリビア開発に資金援助することを決定した。ルーラ大統領は四日、ボリビアのモラレス大統領とカラカスで会談し、経済支援を約束。同援助に基づきBNDESのミッションが七日、ラパスに赴き融資条件を提示した。同会談でモラレス大統領がペトロブラスの件の政治問題化を試みたのに対し、ルーラ大統領は二国間の前向きな話し合いに委ねるとした。ボリビア政府は、ブラジルの経済協力によるトラクター三〇〇台と国道の工事費用を要請した。
ペトロブラスの設備接収とガスの供給価格が未解決のまま、ボリビアへさらに政府は資金をつぎ込むことにした。ベネズエラのメルコスル加盟式が行われたカラカスでボリビアのモラレス大統領は四日、ブラジルへのガス供給価格を政治取引にすることを、ルーラ大統領へ提案した。
大統領は駆け引きを避け、話し合いによる解決を望んだという。ベネズエラのメルコスル加盟式典には、モラレス大統領も来賓として招かれた。ルーラ大統領は、選挙前のガス値上げは得票に不利だから価格調整を拒否した。
ラパスへ赴いたミッションの報告では、融資はブラジル製の機器購入が条件という。トラクター三〇〇台は一四〇馬力で、さらに播種機やコンバインなどもセットである。ミッションは銀行関係者と自動車生産企業代表のみで、農機具などのメーカー代表は参加しなかった。
農機具メーカー代表を同行するミッションは、改めて編成する。農機具メーカーの選択はボリビアの意向に任せる。もう一つの資金援助はラパスから北部パンドまでの八〇〇キロの国道工事で、総工費六億ドル。融資条件は、物資とサービスをブラジルで調達するか否かで異なる。融資総額は不明だが、物資とサービスはブラジルでの調達というヒモ付きである。
ミッションの応対に出たボリビアのラダ石油相は、「ルーラ大統領が選挙での得票を優先する余り、生ぬるいとブラジル国内の右派から非難される。ボリビアのガス国有化も同じようにボリビア国内で非難された。大統領選は両国の交渉に妨げとなっている」と述べ、強硬談判を望む様子を見せた。ガスの価格交渉は、ブラジルが譲らないため硬直状態にある。
交渉は六月二十九日、四十五日以内に決着をつけることで始めた。決着がつかない場合は、国際司法裁判所へ提訴して決めると両国の契約書に謳われている。ペトロブラスは提訴を希望しているが、ボリビアとルーラ大統領は裁判回避にこだわっている。
ボリビア石油公団(YPFB)がペトロブラスへ、四十五日の期限を大統領選後に延期を申請したようだ。ブラジルがこれまで支払った価格は、一〇〇万BTU当たり四ドルであった。アルゼンチンは、すでにボリビアへ五ドルを支払っている。