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全伯太鼓=演奏年々上達=アニエンビーに聴観衆2千=ジュニアの部「一心太鼓」勝つ

2006年7月12日(水)

 大きさを感じさせるきびきびとした動きと会場いっぱいに広がる太鼓の響き――ブラジル太鼓協会(矢野ペドロ会長)主催の第三回全ブラジル太鼓選手権大会が八日、アニェンビー大会議場で開催された。遠くはグアイラからのチームを迎えて約二千人近くが入場し、会場は人で埋まった。観客たちは年々上達する演奏に熱い声援を贈り、関係者からは大会の盛況ぶりを喜ぶ声が聞かれた。
 「日本の和太鼓、伝統文化精神を尊び、最後まで情熱を込め、正々堂々と頑張ることを誓います」。出場者や大会役員が見守る中、開会に先立ち、選手を代表してアチバイアの青山ジュンさんとロンドリーナの原シンチアさんが選手宣誓。会場からは大きな歓声が贈られて大会が始まった。
 緊張した面持ちながらも、揃いの衣装で呼吸を合わせて素早く、華やかに舞台上を舞う太鼓チーム。練習の成果を発揮しての迫力のある太鼓の音に、会場は引き締まった雰囲気に包まれた。
 ロンドリーナからはママさんチーム、青年チーム、ジュニアチームの三グループが出場。バス二台を出して四十人近い団体での来場。そろいのシャツを着ての声援が会場を沸かせていた。「もう、毎日練習してました」と親子揃っての参加に熱がこもる。
 日本からは「太鼓集団天邪鬼」の指導者、渡辺洋一さんら二人が太鼓の新曲を携えて来伯。大会審査員を務めた。
 渡辺さんは「三年前に来たときには、和太鼓でなくてサンバのリズムが入っていたからね。ブラジルの太鼓は年々よくなってきている」と笑顔。それでも、日本の太鼓に比べれば「中の下」くらいと評価は厳しい。指導者不足や、太鼓、バチといった道具の質など、演奏の基礎となる部分が「まだまだ」足りないという。
 今回の滞伯中に指導者育成のため、リーダー講習会や太鼓検定五級、四級の検定講習会、試験をジュンジアイ、リベイロン・プレット、ロンドリーナで行う。
 大会途中には、審査員が休憩で席を外しているにも関わらず演奏を開始。止めに入るのが遅れた上、後の対応にも困り、一時会場は騒然とした雰囲気になった。
 また、リブレの部の終了後に開会式が予定されていたが、演奏終了とともに観客は昼食に席を立ったため、会場は空席状態に。舞台上で立ち往生する関係者の様子が見られた。
 ジュニアの部で優勝したロンドリーナの一心太鼓は、来年三月、京都で開催される第九回日本太鼓ジュニアコンクールに特別出場する。
 大会結果は以下のとおり。リブレの部優勝=スザノ・コウラン太鼓/準優勝=ロンドリーナ・一心太鼓/三位=マリリア・ニッケイ。ジュニアの部準優勝=オザスコ・アセンボ/三位=イビウナ・龍舞太鼓。