2006年7月12日(水)
六日に来伯したJICA第二十二回青年ボランティアおよび日系社会シニアボランティアの歓迎懇親会が十日夜、リベルダーデ区のホテルで開かれた。今回派遣されたのは、青年十人とシニアが十四人。今年は初めて青年とシニアの人数が逆転したほか、任期が日本移民百周年を迎える二〇〇八年七月までということもあり、百周年事業に関係する職種もあるなど、例年とは違う特色も見られる。懇親会には日本政府機関関係者、日系団体、ボランティア受入先関係者などが出席、二年間の活動に臨む二十四人を激励した。一行は十三日までサンパウロ市で研修後、任地へ移動する。
懇親会で、JICAブラジル事務所の小林正博所長は〇八年を見据え、「これから重要な時期にさしかかっている」とあいさつ。「約三十万人の在日ブラジル人とのつながりを含め、これから日本とブラジルの関係は重要さを増していく」と述べ、「ボランティアの皆さんが受け入れ団体のサポートを受けながら充実した二年間を過ごせることを願います」と言葉を贈った。
土肥領事のあいさつ、ボランティアの自己紹介に続いて上原幸啓文協会長の音頭で乾杯。関係者を交え一堂懇談した。
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今回はあわせて二十四人のボランティアがブラジルの地を踏んだ。(氏名、派遣先等は十一日付け既報)
日本語教育関係(青年六人、シニア五人)や農業、社会福祉など例年ある職種のほか、今回は花卉産業史の編集や造園、学校運営アドバイザーといった新しい職種も見られる。
昨年派遣された青年は二十人。今年は約半数となったが、反面、シニアボランティアは昨年の九人から十四人に増加、〃ベテラン〃が中心となった。
青年ボランティアで唯一の男性、野球指導の近藤俊介さん(23)は、二〇〇一年、岡山の玉野光南高校の主将として甲子園に出場した。ブラジルから留学し、宮崎の日章学園から甲子園に出場した小笠原ユキオ選手は大学野球部の後輩。「(ブラジルの野球は)レベルが高いと感じていました」。
ソロカバ日伯文化体育協会を中心に野球の指導にあたる。「ブラジルはサッカー大国ですが、野球も楽しいということを伝えられたら」と抱負を語った。
同じく青年ボランティアの山本裕美子さん(岡山)は〇四年の日本ブラジル交流協会研修生OB。今回は県連で、日系人口実態調査など百周年関連の業務にも携わる予定だ。
百周年関連ではこのほか、マリンガで進む日本庭園計画に対し、造園技師としてシニアボランティアの川下滉さん(鳥取、58)が派遣されている。
今回は、以前ブラジルを訪れたことのある「再来伯組」も目立つ。
富有柿の専門家としてピラール・ド・スールのサンパウロ州柿生産者協会で活動した浦田昌寛さん(58)は、昨年六月の帰国一年後の再来伯。派遣先も同じサンパウロ州柿生産者協会だ。「前回の結果確認と総仕上げの時期。この二年間で完璧にしたい」と意気込む。
史料館学芸員の小笠原公衛さん(山梨、58)は八一年から八八年まで、研究員としてサンパウロ人文科学研究所で働いていたという。半田知雄、河合武夫氏など今は故人となった先達が現役だった時代だ。「恩返しの意味も込めて二年間、最後のご奉公をしたい」と話す。
来伯前は県立博物館などで資料のデジタル化に携わっていたという。今回はサンパウロの史料館を中心に各地の移民資料館の巡回なども行う予定。
今年派遣のボランティアは前年から五人減少。漸減傾向の懸念に対して小林所長は、「昨年はJICA全体の予算が逼迫してボランティアにも影響した。来年は昨年並みに戻る予定です」と見通しを話している。