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コラム オーリャ!

 先週、編集部に一人の婦人が来社した。「『ぶえのすあいれす丸同船者会』の記事を見たいと思って」という。六月三十日付けで掲載された、戦前最後の移民船のことだった。インテリオールに住む姉から聞いたと話していた。
 四一年八月、婦人は九歳だった。記事にもあるように、対米開戦直前の国際情勢から、船はパナマ運河ではなくマゼラン海峡を通った。水路が狭く、数々の船が難破したマゼラン海峡。通過中は万が一に備え、救命ボートに乗る訓練を繰り返していたそうだ。
 「でも案内人が良かったんですかね。無事に通れました」と普通に話すその婦人。「それで今ここにいられるんですよ」と笑顔を見せた。
 何気なく使っていた「移民船」という言葉。婦人の言葉に、文字通り死の危険と隣り合わせだった時代があったのだと改めて感じた。(ま)

06/07/12