NHKテレビが放送していた韓国のTVドラマ宮廷女官『チャングムの誓い』(日本語版)がコロニアでも人気のようである。五十数時間の長編だが、飽きさせない。先日、本紙読者欄『ぷらっさ』にも鑑賞後の感想が掲載されていた▼誠実に人よりも努力すれば、必ず報われる、という教えに貫かれている。移住後、ブラジルで、多くが勤勉さを評価されてきた日系人には大受けしそうだ。現代日本人に少なくなった生き方だけに、NHKの、あえて長期放送した意図が察しられる▼ドラマは「数々の試練に直面し、虐げられながらも生き抜く」主人公の若い女性(女官)の言動を、これでもか、これでもか、と見せる。時代背景は十六世紀の李氏朝鮮。専制、封建の世である。宮廷に仕え、誠実に生きるには困難が伴う。それを乗り越えていく様が、観る人を泣かせる▼主人公たちが朝鮮料理をつくる。食材の豊富さがすごい。糖尿病にいい食事も出てくる。本紙への投書者は「あの時代、糖尿病は病理的に確立されていないはず」と書いていた。考証の正確さの問題である▼また、儒教が徹底されていたとすれば、妻が夫に貞淑なはずなのに、恐妻夫婦が登場したりして笑いを誘う。貞淑は建前で、実際は現代と変わらなかったのだ、と思えば、それも理解の範囲内である▼それにしても、韓国ドラマには、止めどない、類があまりない、ある種のエネルギーがある。『チャングムの誓い』などが、国籍を越えファンを獲得できるのはそのせいだと思われる。(神)
06/07/12