2006年7月13日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】CNT・センサスの調査によれば大統領候補のアウキミン前サンパウロ州知事が支持率を六・九ポイント上げ、トップの現職大統領ルーラ氏に対し着実に駒を進めていることが十一日、判明した。一方、訪欧中のアウキミン氏は十一日、ジェレイサッチ上議とフレイレ下議を伴いブリュッセルにEU執行委員会のバローゾ委員長を表敬訪問した。アウキミン氏は、大統領に当選した場合の対EU通商政策やバイオエネルギー、国際問題について打ち合わせた。今回調査でアウキミン氏があと六・五ポイント上げれば、決選にもつれ込む公算が出てきた。
将来はEU大統領の噂で世界が注目するバローゾEU委員長への挨拶回りは、当を得たといえそうだ。混沌とした中東情勢がEUの期待する方向へ地固めを進め、地政学地図が塗り替えられつつあることが予想される。そんな中アウキミン氏の同委員長への布石は、正解といえそうだ。
テレビによる本格的な政見放送が始まる前の支持率六・九ポイント上昇は大きいと同氏は顔をほころばせた。資金を費やさず広告宣伝もせず、有利にことを運ぶ政府機関も持たずに支持率が上昇したのは、国民の期待が高まっている表れだと、同氏は理解した。
今選挙が行われるならルーラ氏が一次投票で当確というが、潜在的な支持率回復は決選投票にもつれ込むことを暗示しているという。八月十五日からのテレビ・ラジオの政見放送が始まれば、実力の差はさらに鮮明になる。政治家は足が地に着いている必要がある。
空想とことばのアソビを有権者が見分ける。調査と選挙は全く別物とアウキミン氏が述べた。前回調査ではアウキミン氏が二〇・三%、今回は二七・二%。ルーラ氏は前回四二・七%、今回四四・一%とわずかだが伸びた。
ルーラ氏には、三つの有利な背景があった。ガロチーニョ氏の候補断念とフレイレ氏とエネイアス氏の候補取り下げ。政府機関の集中支援と、前哨戦的で派手なイベント開催があった。アウキミン氏は党のテレビコマーシャルと散発的な援護射撃だけ。
両氏にとって不利な材料は、ルーラ氏には底なしの汚職疑獄と対ボリビア腰抜け外交。アウキミン氏は州都第一コマンド(PCC)の襲撃事件と刑務所の暴動。これらについては有権者が選挙で判決を下す。
アウキミン氏支持は北東部地方を除き、全域で上昇した。目覚しいのは南東部地方の一〇ポイント上昇。ルーラ氏は中西部と北部地方で四・二ポイント下がった。決選となった場合、両者の差は一七・五ポイントから一二・八ポイントに縮小。これはアウキミン氏がさらに六・四ポイント上げれば、拮抗ということを示している。
これまでの支持率調査は、候補者にとっては禁欲生活の中での支持率であった。八月十五日からテレビ放送が始まると、結果は大きく変わる。センサス調査で意外とされるのは、無党派や浮動票の激増である。大統領選では三九・八%、州知事選では四四・三%、国会議員選挙では五〇・九%が無関心と答えた。