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◇コラム 樹海

 インターネットがなかった頃は、考えられなかった、読者の新聞社への問い合わせだった。「北朝鮮からミサイルが(日本に向けて)発射されたという記事が、今日の新聞に出ていないが、どうしたのか?」▼発射され出したのは日本時間五日午前三時半過ぎ(当地時間四日午後三時半過ぎ)、本紙の締め切りは最も遅い日系社会面で午後五時前、翌朝の発送の都合で他のページはもっと早く締め切っている。だから、五日付には、掲載できなかった▼電話の読者は、時間的にみて、載るはずだと考えたのだろう。日本人は、今ブラジルでNHKテレビを視聴し、ニュースは知っている。それでも日本人の習性で、活字になったのを見たかったに違いない▼邦字新聞の「日本および国際」関係ページの記事の確保方法には変遷がある。戦後六〇年代の半ばまでは、NHKのラジオ短波放送および伯字紙の翻訳に頼った。短波放送は早朝録音し、あとでテープを起こした。これが、最新ニュースだった▼その後、通信社のFAXによるニュース速報を購入した。紙面に出るのは日本とは一日遅れ。速報の文字は植字し直さなければならなかった。九〇年代の半ばからインターネット配信が受けられるようになった。植字する必要もなく、ページの大組みまですべてパソコンでやれる。スピードアップだ。日本と同じ日付で速報できる▼だから、速報に関心が強い読者の電話をもらうことになった。だが、邦字紙記事はこれ以上、速くはならないだろう。(神)

06/07/14