2006年7月15日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十四日】レンボサンパウロ州知事は十三日、ルーラ大統領は精神異常者であると記者会見で述べた。州都第一コマンド(PCC)による連日の襲撃事件を阻止できないことを、大統領はサンパウロ州治安当局の管理怠慢の結果であると批評した。サンパウロ州知事は同批判に反論し、原因の根源がブラジル全体にあり、大統領は精神が正常でないため事件の本質が見えないと酷評した。また知事は、バストス法相が事件を選挙宣伝のネタに使っていると批判した。連邦政府の治安部隊派遣について知事は、州が要請する支援は部隊派遣だけでなく、多方面にわたる全面的支援であると政府の対処を冷笑した。
サンパウロ州知事は十四日、バストス法相と治安対策について話し合う。知事は会合があぶはち取らずにならないよう事件の本質を分析し、政府に六カ条の支援要請書を提出する。
一、刑務所の建設費交付。二、連邦警察の機能強化。三、諜報機器の提供。四、州立刑務所に服役中の連邦裁受刑者一六〇〇人の連邦刑務所への返還。五、州間に情報交換機関の設置。六、国税庁によるPCC資金の監視。政府の治安部隊派遣だけの支援は不要という。治安部隊派遣は単なる選挙宣伝のゴマカシで、実戦には何の役にも立たない有名無実な代物とした。
知事は記者の質問に答えて、州当局は事件の原因と結果を百も承知と、次のように述べた。これはサンパウロ州だけの問題でなく、ブラジル全体の規模で分析する必要がある。サンパウロ州は万全の体制にあるが、それだけでは問題を解決できない。
PCC襲撃事件に関する政府見解は間違っている。PCCはブラジル社会の病根で、複雑な国家問題である。責任の転嫁や軽率な選挙宣伝で片付くことではない。問題解決には、連邦政府と二十六州の協力が必要である。今年は選挙年であるため、国家問題を党の問題にすり替えようとする姑息な動きがある。
法相は十四日の会合で、PCCに関する国家情報局(Abin)と陸軍諜報部の資料を提供する。服役中のPCC幹部と側近らが銀行に持つ膨大な金融資産とその取引について治安当局は把握してない。どこから入金し、どこへ送金されるのか、麻薬の経路と資金源が管理されていない。
政府が口先だけでいう治安部隊とは、全国から掻き集めた七六七六人の雑魚部隊である。そのうち七〇〇〇人をサンパウロ州へ派遣し、三交代で二〇〇〇人が不慣れなサンパウロ州各都市に駐屯する。役にたつより鉄砲玉を食らうのが関の山。
治安部隊召集には二十日かかる。PCCの襲撃は奇襲だから二日か三日で終わる。気のきいた化け物が引っ込む頃、治安部隊が到着する。七〇〇〇人をどこに寝かすのか。これがルーラ大統領のいう部隊派遣で、ふざけるにも程がある。こんなことを考える人間は狂人だ。
治安部隊の実体やPCCの本質を国民は正しく理解していない。国家情報局(SNI)を解体したのは重大な誤りである。民主国家の諜報活動は機能範囲に限度があり、治安活動に必要な情報が得られない。これでは組織犯罪を制御できない。