2006年7月15日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十四日】犯罪組織州都第一コマンド(PCC)が十一日から十二日にかけて襲撃を再開した後、一時的に活動を停止したかに見えたのも束の間で、再び十三日夜に襲撃を継続したことで保安当局は緊張を高めている。
組織犯罪捜査課はPCC幹部の電話のやり取りの盗聴記録で、襲撃一時停止の指令の情報をキャッチして警備をゆるめたが、実はこの指令はまやかしで、実際には作戦変更を命じる指令だった。このため当局の対応が遅れる結果となった。
十一日と十二日の襲撃事件では事前に情報を得ていながら対応策を取違えており、重なる失態に批判が集中している。なかでもバス焼き打ちでは当局が保安体制を明確にしなかったため、路線バスが一斉に運行を停止、市民二〇〇万人が通勤の足を奪われたことに不満が噴出している。
捜査課は十三日午前、PCC幹部が発した襲撃停止命令をキャッチしたが、この指令はこれまでの警察、裁判所、刑務所などの司法施設への襲撃を変更して、公共施設をはじめとする市民が集まる場所のいわゆる無差別攻撃を指示したものだった。当局は裏をかかれた格好となった。
これにともない十三日午後七時半、市内東部のショッピング・アリカンドゥーバで手製とみられる爆弾が破裂、商店のショーウインドーのガラスと、車二台に損傷を与えた。ショッピングセンター内は買い物客でにぎわっていたが、負傷者は出なかった。オートバイに乗った男が爆弾を投げつけ逃走したとのことで、警察ではPCCメンバーの犯行とみている。
また同じく東部でゴミ集配のトラック二台が集団に襲われ、焼き打ちにされた。これにより清掃会社は南部も含めゴミ収集の停止を決めた。約六〇〇万人分のゴミが路上に放置されることになる。
保安当局は十三日朝から、路線バスに武装した私服警官を同乗させることで運行を再開することにした。しかし、利用客は逆にPCCの目標になり易く、撃ち合いの巻き添えの心配があるとして、この措置を歓迎していない。
当局が発表した十三日午後三時までの被害状況によると、サンパウロ州四十五市で一一八カ所を標的とした一〇二件の襲撃があり、少なくとも六人が死亡している。これによるPCCメンバーの逮捕者は十四人に上った。バスの焼き打ちは六十八台でそのうちサンパウロ市内は四十六台だった。これについてカサビサンパウロ市長は、PCCはサンパウロ市を混乱に陥れ、動きを止めるのを目的としていると憂いを見せている。