ニッケイ新聞 2006年7月20日付け
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十九日】調査会社ダッタフォーリャは十八日、次期大統領選は決選投票にもつれ込む可能性が増大したと発表した。ルーラ大統領(労働者党=PT)は有効票で五二%を占めて第一位を保つものの、他候補の合計との差が四ポイントに縮小。特に目立ったのは、エレーナ候補(自由社会党=PSOL)が支持率を六%から一〇%に伸ばしたこと。同候補の伸びは特に南部で見られ、前回の支持票六%を倍以上の一三%に伸ばし、ルーラ候補の有効票縮小に食い込んだ。ルーラ候補は拒絶票でも三二%とトップ。続いてアウキミン候補(ブラジル民主社会党=PSDB)の二二%、エレーナ候補の二一%となっている。
調査は十七日と十八日、全国二七二都市で六二六四人に質問した。ルーラ大統領とアウキミン前サンパウロ州知事の支持票は下降気味で、一次投票での当選は危ういものとなった。前サンパウロ州知事へのPCC(州都第一コマンド)襲撃事件の影響は、ほとんどない。
支持率はルーラ候補が前回の四六%から四四%へ、アウキミン候補が前回の二九%から二八%で、ほとんど変化はない。PTとPSDBの一騎打ちが決選へもつれ込む可能性が出てきた時点で、エレーナ候補の伸びは予測できた。
エレーナ候補の支持率は年初六%から七%に定着していたが、六月から始まったテレビ放送の内容が評価されたとみられる。南部ではアウキミン候補の縮小分がエレーナ候補へ回り、二人は同率へ。
エレーナ候補は北部と中央西部でも七%から一一%へ伸ばした。北東部では五%から七%。北東部は、何といってもルーラ候補の票田で六四%から六三%。アウキミン候補は、一七%から一三%と分が悪い。南東部はエレーナ候補のみが七%から一一%に伸び。他二人は現状維持。
浮動票はまだ三〇%ある。六八%は決定済みで動かない。内訳はルーラ候補が七四%、アウキミン候補が六六%。エレーナ候補支持者の四六%はまだ変更の可能性があるようだ。もし鞍替えするなら三九%がアウキミン候補、二一%がルーラ候補という。
調査結果についてPT幹部は、エレーナ候補を旧民主連合(UDN)の亡霊呼ばわりした。PSDBの票稼ぎに利するだけで、PTには邪魔になるという。ジェンロ憲政相は、エレーナ候補は左翼政治家なのに何故Prouni(大学改革)や初等教育改革、生活扶助制度を批判するのか不可解だと述べた。
アウキミン候補が、エレーナ候補の伸びは熱意と真しな活動の評価であり、同候補の人柄を尊敬していると述べた。アウキミン候補とエレーナ候補は知名度で遜色があるが、徐々にルーラ候補を追い上げ、勝負は決選に持ち込まれるとみている。
エレーナ候補は支持率上昇に安堵したが、調査結果は現時点の観測に過ぎないとしてコメントは控えた。ただ支持票を投じてくれた有権者が勇気を与えてくれたことに感謝するという。僅少の資金と放送割当時間で、これだけの反響があったと満足感を見せた。