ニッケイ新聞 2006年7月20日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十九日】金融コストが企業の利益の半分を食い物にしている―。サンパウロ州工業連盟が昨年の収益を調査した結果を発表したもので、それによると中小企業は金融コストが利益の五一%に達し、大企業でも四九%と大差なく、金融面での金利や経費が大きな負担となっていることが明らかになった。この数字は税金と生産コストを差し引いたもの。
最大の要因として挙げられるのが、二〇〇四年半ばから〇五年にかけて連続的に上昇した基本金利(SELIC)で、企業の銀行融資の金利に直撃を与えた。とくに中小企業は体質のもろさから銀行との交渉をうまく出来ず、不利な高金利を呑まざるを得なかった。また国際金融筋の低金利活用の術もなかった。
〇四年度の金融コストの利益に占める比率は中小企業で三九%、大企業で二三%だったことから、昨年度は大企業の方が負担が上昇したことになる。〇三年度はそれぞれ六五%、三〇%で、中小企業は〇三年の不況時代に逆戻りした形となった。
歴史的に見ると中小企業の場合、〇〇年が八三%、〇一年が八二%、〇二年が八八%で、金融機関のために汗を流していたことになる。大企業でもそれぞれ五二%、六九%、八八%と高率を示し、まさに金融地獄の様相だった。
いっぽうで中小企業は昨年度、販売が〇・二%増だったのに対し、負債は純資本金の四七%に達した。大企業は販売が五・六%増に対し、負債が六二・三%となり、いずれも回転資金に事欠いた。
同連盟では今年も好転する材料はなく、高い金融コストを引きずっていくだろうとの見方をしている。ここにきて中銀がSELICの引き下げを実施しているが、実質金利は相変わらず世界一で、すでに金融機関と融資契約を結んでいる企業が多く、急速に変化が現れることはないとみている。