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小泉首相が日伯議連を脱会=総会前に〝突然〟の決断=コロニアから困惑の声=「百周年にぜひ来てほしい」

ニッケイ新聞 2006年7月20日付け

 小泉純一郎内閣総理大臣が、所属する日伯議員連盟に脱会届を提出していたことが分かった。同議連では今月五日、前会長の故・橋本龍太郎元首相に代って麻生太郎外務大臣が会長に就任したばかり。百人を超える国会議員からなる日伯議連。現職首相として来伯した小泉首相の存在は大きい。二〇〇八年のブラジル日本移民百周年に向けて、同議連の活動が期待されているだけに、波紋を呼びそうだ。
 同議連の事務局関係者によれば、小泉首相は今月五日の日ブラジル会議員連盟総会の前に議連に脱会届を提出したという。
 二〇〇四年、現職総理大臣として八年ぶりに来伯した小泉首相。長く低迷していた日伯関係はこの首相来伯を機に好転に向かい、翌年のルーラ大統領訪日、〇八年の日伯交流年とそれに向けた日伯二十一世紀協議会の創設へとつながった。グアタパラ移住地で先駆移民に花束を捧げ、文協大講堂で涙した姿は記憶に新しい。
 「日伯新時代」を象徴する小泉首相の突然の議連脱会に、ここブラジルの日系社会からも困惑の声が上がっている。
 首相のいとこで、先の来伯時にも再会を果した井料堅治さんは、「首相を辞めた後、日本サイドで議連会長に立てる機運があれば、連絡をしようと考えていた。(脱会が)本当なら、どういう意味があるのかは分からない。でも、ブラジルから離れることはないと思う」とコメント。
 グアタパラ移住地で首相を迎え、昨年五月には東京の首相官邸で面会した同地文協の川上淳会長も「寝耳に水」と驚いた様子。「昨年東京で面会した時に二〇〇八年にもぜひ来てほしいと話したら『行く行く』と言われていたのですが。その時、今度はゆっくりとブラジルを見たいと話しておられたから、議連に入っていてもいなくても、ぜひ来てほしいですね」と話した。
 今回の脱会については、同じ議連に所属、現在来伯中の後藤博子参議院議員も知らなかった様子。
 折りしも同議連では今月五日の総会で、現職外相の麻生太郎議員が新会長に就任したばかり。新会長の選出と脱会との関連は不明。
 今月二十四、二十五日には東京で日伯二十一世紀協議会の最終会合が予定されている。協議会創立の立役者である小泉首相の議連脱会は波紋を呼びそうだ。