ニッケイ新聞 2006年7月22日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十一日】犯罪組織州都第一コマンド(PCC)の不正を追求しているサンパウロ州検察局は二十日、サンパウロ市内で幹部および弁護士など二十一人を大量検挙した。
この中にはPCCの資金を運用する経理担当の幹部も含まれていることから、当局では資金の流れを解明するとともに、ルートを断絶して組織の崩壊に持ち込みたいとしている。
また組織のトップとされる通称マルコーラの法廷弁護士も犯罪組織結成の罪で逮捕された。同弁護士はマルコーラの命令伝達の役目も担っていたことから、組織の指令系統の全貌をあばきたいと意気込んでいる。さらに当局はPCCが五月に蜂起し、一連の襲撃事件が発生して以来、最も重要かつ成果のあった検挙だったとしている。
組織犯罪捜査課は二十日早朝、サンパウロ市内ラッパ区のPCCの経理のアジトを急襲し、四人を逮捕した。中でも通称マルレネは、麻薬代金の収入と麻薬配布を取り仕切り、経理帳簿の責任者だった。その帳簿によると六月度の収支決算はプラス二二万四〇〇〇レアルに上った。
その上で同じく逮捕された通称レアンドリーニョが、幹部の命令を受けて支払いなどの指令を出していた。当局は電話盗聴で、この二人が今月のバス焼き打ちのための武器や資金を提供していたことを突き止めている。
いっぽうでマルコーラの弁護士は罪状を否認しているものの、検察は立件できるとしている。このほか弁護士は銃器CPI(議会調査委員会)がマルコーラを尋問した記録のコピーを、職員に賄賂を払って入手した疑いで取り調べを受ける。
このほかサンパウロ州ピリトゥーバ、スマレー、カジャマルの各市でもPCCメンバーが逮捕されている。これらは大量の武器を運んでいるところを現行犯で逮捕された。メンバーのほとんどが一連の襲撃事件に加わった容疑で指名手配されていた。
いっぽうで連邦政府は、サンパウロ州検察局がPCCの資金断絶作戦に踏み切ったのを受け、連警情報部に対して全国的に捜査網を張り巡らさせて不正資金の流れや外国送金の監視を強化することを発表した。連邦保安当局との協議でバストス法相が明らかにした。また、レンボサンパウロ州知事が出動を拒否している陸軍保安部隊についても、有事に備えて待機させることを明らかにした。