ニッケイ新聞 2006年7月22日付け
中東情勢が荒れに荒れている。イラクの爆弾テロは過激派の行動が過熱しこの2ヵ月で6000人近くが死亡した。イランの核兵器開発は国際的な批判の的になっているし、イスラエルのベイル―ト空爆がテレビや新聞を飾り賑わせる。イラクの場合は宗教戦争の側面が強いし、イランの核は政治的であり、イスラエルの戦いは国家と民族の生存を掛けるものであって―この地域の複雑さを物語っている▼今はイスラエル軍のレバノン攻撃が話題になっているけれども、ことの始まりはレバノンの過激派である「ヒズボラ」がイスラエルに侵入してイ軍の兵士8人を殺害、2人の兵士を拉致した事件への報復と見ていい。イスラエルのガザ攻撃も、パレスチナの政権を担う原理主義「ハマス」が、イスラエル兵士2人を拉致し返還に応じないためにやむを得ずに軍事行動に走り、閣僚などを拘留したの事実と経緯を見逃してはなるまい▼ここで明らかにしたように根本的な非は「ヒズボラ」と「ハマス」にある。ハマスは近頃政府は拒否し「ヒズボラかなり穏健的になっているところもあるが基本的には「イスラエルの存在を認めない」の立場であり「共存共栄」の考え方を拒否する。ヒズボラも同じ意見でありイスラエルとは敵対しイランとシリアが資金や武器を支援しているとされ、これが問題を複雑怪奇にしている▼国連は調停に意欲を示し國際部隊の派遣を目指しているようだけれども、イの武装解除が先決」として譲らない。米のブッシュ大統領も過激派と原理主義の行動を非難しており、早急な解決は難しいのではないか。(遯)