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ルーラ候補、遊説第一声=政治改革が急務=汚職の元凶はシステムにあり=社会の底辺に光を当てる

2006年7月25日付け

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十四日】ペルナンブッコ州オリンダ市で大統領選遊説の第一声を挙げたルーラ大統領が二十三日、汚職はブラジルの政治システムの欠陥だから、政治家や党を責める前に政治改革が急務であると強調した。長い間欠陥は放置され、そのしわ寄せの積もった結果が今回のスキャンダルだという。ここでブラジル政治の病巣を切開しないと、次々と汚職は繰り返され、十年か二十年後に今日の無為無策を悔やむことになる。再選の暁には、党組織のあり方や議会における党のあり方、議員権のあり方、ラランジャ党(名目だけの党)の排除などで改革を行うと公約した。
 汚職の元凶は政治システムだというのだ。大手術は、古傷を深くえぐる覚悟をせよと訴えた。しかし、大統領は政治改革を具体的に説明しなかった。野党は汚職告発を政治的に利用するだけで、汚職自体を深追いしないし、汚職撲滅の意欲もないという。野党候補は口先の政治論争で挑み、同次元の答えが帰るのを待つだけと批判した。
 予算案審議で二〇〇五年に見せた国会の怠慢は、議会政治においてあるまじきことと糾弾した。ブラジルの運命を決する重要問題に対し真剣味が欠けている。政府を困らせるつもりだが、困らせたのは国民であることが野党には認識できていないと、大統領は議会のあり方を糾弾した。
 北東部地方出身者を軽視する南東部地方の悪習排除のため、地域格差の是正を大統領は強調した。北東部を僻地にしてはならない。僻地にすると、南東部の水準に引き上げるのは困難であると、大統領は次のように説明した。
 貧乏な家族の父親は、政府の生活扶助金があろうとなかろうと、一家を食べさせなければならない。生活扶助金は、お腹のすいた子供の胃袋に最低限のカロリーとたんぱく質を与える。腹だけではない。頭にも栄養が必要である。
 教育のチャンスを与えないならば、国民を見捨て平等のチャンスを与えていないことになる。ブラジルの歴史を見れば、知識と知恵が国を支えたことは一目瞭然である。アフリカ系ブラジル人への大学の定員割当制度への批判があるが、政府は低所得者を擁護し、人種偏見を断固阻止する意向を示した。
 これまでの政権が見落としてきた社会の底辺に光を当てるため、労働者党(PT)は選出されたのだという。制度は人種偏見だという意見がある。政府は黒人や低所得者へ、勉学と雇用の機会を与えることに尽力すると述べた。銀行に黒人の支店長がいない。黒人の歯科医や医師がいない。割当制度は建前であって、本音は人種革命であるとした。
 教育を受けたブラジルのエリートは、ヴァルガス元大統領を死へ追い詰め、ジュセリーノ元大統領に濡れ衣を着せた。ゴラール元大統領を引きずり下したエリートが、ルーラ大統領をも引きずり下そうとしている。自分が違うところは、卓越した逸材ではなく、国民と同じブラジル人であること。これまでの指導者が得ることのなかった国民の絶大な支持で擁立された大統領であると大統領は自画自賛した。