ぜひ鳥海山を見にきてください――。在伯由利本荘追分会創立総会が二十三日午前、秋田県人会館で行われ、地元秋田県の由利本荘(ゆりほんじょう)市から、柳田弘市長、井島市太郎県議会議長ら十二人の訪問団が駆けつけ、百人を超える関係者と交流を温めた。
同会は、さきの平成の大合併で本荘市が由利町を含めた七町と合併、由利本荘市となったことを受け、一九八五年から活動していた本荘追分会を改称、今回新たにスタートを切った。
由利本荘市の人口は、約八万九千人。秋田、横手、大仙に次いで県内四位(平成十七年度国勢調査要計から)。「由利本荘市出身者による親睦会としては、世界で唯一」と話す柳田弘市長は、県人会創立三十五、四十周年に続き、三度目の来伯となる。「戦前に来た人や古里を忘れず頑張ってくれた人を激励したい」と話し、県人や県人子弟たちと歓談を楽しんだ。
由利本荘追分会は本荘市出身者を中心とした親睦会。世話人の伊藤武さんによれば、メンバーは三十五人。年に一回、親睦会を開くほか、由利本荘市の広報誌を配布、傘寿の祝いとして、市から贈られる鳩杖などを渡すなどしている。
県人会三代目会長、故石川久助さんが本荘市出身者を集め、本荘追分を唄いながら、郷愁を慰め、親睦していたのがきっかけ。
「県人会ができる前から、本荘会はあったんですよ」と石川さんの妻千枝さん(89)は話す。
サンパウロ州サンターナ・デ・パラナイーバ市にあった石川さんのシッチオで行われた最初の会合は三十三人。その当時から、会に出席していた亀井治郎さん(82)も姿を見せた。
「青年が集まってそりゃ賑やか。本荘の話をするのが何よりの楽しみだった」と二人は、昔を懐かしむ。
総会で柳田市長は、「祖国、古里を思い、こういう会で頑張ってくれているのは嬉しい」とあいさつ。
井島県議会議長はイビラプエラ公園の先没者慰霊碑に参拝したことを報告、「これからもお付き合い願いたい」とさらなる交流を誓った。
石川準二県人会長は、「由利本荘市出身の県人は会の中核を占め、その発展に尽力した」と称えた。
柳田市長は、地元の画家が描いた鳥海山の水墨画を創立記念として贈呈、「古里が恋しくなったら、この絵を見て下さい。まだ日本に来たことがない人は是非、秋田に見に来てください」と笑いを誘い、世話人の伊藤武さんに金一封を手渡した。
伊藤さんから、訪問団全員にからすみが贈られ、秋田銘菓「もろこし」が市長から、石川県人会長に手渡された。
訪問団が持参した郷土の美酒が振舞われた歓迎昼食会では、会場のあちこちで笑いが起き、和やかな雰囲気に包まれていた。
乾杯の音頭を取った斎藤栄一監査委員(元議長)が正調・本荘追分で自慢のどを披露、会場から拍手が送られた。
ベレンから在伯アマゾン地域秋田県人会の畠山岩吉相談役、妻多紀子さんも駆けつけた。「みんな親戚みたいなもの。他県と比べても秋田県人の繋がりは強い」と笑顔を見せていた。
古里への思い新たに=由利本荘追分会=平成の大合併受け改称=柳田市長が3度目の来聖
2006年7月26日付け