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外為法改正案を発表=決済簡素化と免税=輸出受注額30%は海外預金可=効果は少ないと業界

2006年7月28日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】政府は二十六日、為替対策として外為法の四項目を改正する包括案を発表した。主な変更点は、一、輸出受注額の三〇%に海外預金を認める。二、輸出業者にドル決済の売買取引を認める。三、中央銀行は利益や配当金の海外送金に便宜を図る。四、免税店の取引はレアル通貨による決済を認める。為替市場はそれにもかかわらずドル通貨が前日比〇・五九%下げ、二・一九レアルとなった。同案の効果が表れ出すのは二十日後、国庫の減収は二〇〇億ドルとマンテガ財務相が予測した。業界関係者は、為替への効果は一定限度内に留まるとみている。
 ブラジルの外為法は一九三〇年に制定された古い法律である。七十年以上も改正されなかったのが不思議な位だ。今回の変更で輸出業者の納税負担が少し軽減される。通貨審議会(CMN)が、輸出受注額の三〇%の海外預金を認め、重複する金融取引税(CPMF)の負担を免除される。
 現行法は、輸出業者が受注全額を二一〇日以内にレアル通貨へ換金することが義務付けられていた。業者は海外に未決済勘定があれば、もう一度レアル通貨からドル通貨へ換金せざるを得なかった。通貨換金の度に業者は金融取引税を払った。
 包括案の目的は、レアル通貨の切り下げではなく過当評価を避けるためと、財務相がいう。CMNは、輸出業者が一部輸出代金を海外に預金することで、通貨の為替管理が軽くなる。為替危機が起きそうな場合、CMNは同包括案を一時中止することもある。
 海外に預金された輸出代金の一部は、中銀が引き続き国内送金を管理する。三〇〇〇ドル以下の取引に為替契約は不要となる。輸出業者の資材輸入や製品輸出にまつわる通貨の換金と手続きが省かれることになった。これは業者にとって大きな節税になる。
 海外からの直接投資に対する利益送金や配当金の送金は、輸出代金の三〇%が海外にあるので決済が簡単になり、手続きの手間や金融取引税も免除される。同項目は一石二鳥の効果がある。
 フルラン産業開発相は、輸出業者の海外預金に上限六〇%を要求した。三〇%は初期の試験ケースとし、徐々に引き上げる考えだ。一定期間の取引状況を見て妥当な線を割り出す。理想としては、全額を輸出業者の采配に任せるべきだと同相はいう。
 海外に預金される三〇%の輸出代金は、何ら制約を受けることなく国際通貨として世界を駆け巡る。包括案は貿易収支よりも金融収支に道を開く。そして預金よりも増え、工作機械や資本財の姿となってブラジルへ帰ってくる。ブラジルは輸出振興のため、工作機械や電子部品を大量に輸入する必要がある。そのため低コストで自由な資金が海外で必要なのだ。
 業界は方向性を正しいと見るが、為替率と輸出の国際競争力から推測すると効果は少ないと悲観的。為替政策についてブラジルは経験不足である。包括案の付録ともいうべき輸出契約への融資法も必要。輸出の金融コストは二%以上になる。このコスト削減のため、輸出システムの合理化と簡略化が急務だ。