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フェベンに精神異常者収監=治療や指導なく出所や逃亡

2006年7月28日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十三日】サンパウロ州の州立青少年更生施設(フェベン)には約五〇〇人の精神障害および心理的不安を抱える、いわゆる精神異常者が収監されていることが明らかになった。
 施設筋ではデータは揃っていないものの、司法研究グループが調査したもので、これにより全国で一%から三%の精神異常者が収容されていると推察している。
 これら異常者はとくに隔離されたり、治療で特別扱いされる訳ではなく、一般の収容生に交じって同じ生活をしている。このことで研究グループは異常者が過激な行動に出たり、狂暴さをむき出しにして一般収容少年を煽動し、更生を妨害する危険性があると指摘している。
 さらに施設の収容期限が三年あるいは二十一歳までとなっていることから、特別な治療や指導を受けないままに出所する異常者は、出所後さらに凶悪な犯罪事件を引き起こす恐れがあると警告している。
 調査の発端となったのは二〇〇三年十一月にサンパウロ州エンブー・グアス市で発生した学生の恋人カップルが殺害された事件で、主犯の十九歳の少年(逮捕されてフェベンに収容済)が精神鑑定で異常が発見され、実刑を免れる可能性がでてきたことにある。さらに少年は事件直後に逮捕されたため、今年十一月でフェベンの収容期限の三年を終えることになる。それまでに公判が開かれないと釈放となる。
 少年は事件の非道性から身許は公表されず、捜査の守秘からフェベンで隔離されているとのみ伝えられている。精神に異常が発見されても特別に拘留する施設がないことから病気の治療や更正指導ができないのが現状だ。この場合一般のクリニックで治療を受けるが、監視員のスキを盗んで逃亡するケースが多発している。
 十人を殺害してフェベンに収容され、その後刑務所に移送された通称バイアニーニョも二〇〇三年にクリニック通いの途中で逃亡、いまだに再拘束されていない。