さきの日本祭りで「ブラジル日系文学」ブースは、出展奨励ブースとして、ふさわしい働きがあったようだ。芭蕉の「古池や――」の句をハイカイ作句者と散文翻訳者による二通りの翻訳で紹介していた。省略が効いたハイカイ風をブラジル人は理解しただろうか。文芸愛好者たちには〃たまり場〃として格好の場所だった。ミナスへわざわざ行って買い求めたというガラフォンのカシャッサを入場者たちに振る舞った。人寄せはこれに限る?と。
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サスペンス小説「ワイルド・ソウル」でブラジル日系移民を取り上げた垣根涼介氏が書き下ろし長編を上梓した。「ゆりかごで眠れ」(中央公論新社)。今回はコロンビア移民の子供が主人公。両親を内戦で失ったことから、犯罪社会に足を踏み入れ、偽造パスポートで訪日。「ワイルド・ソウル」同様、官僚組織を重火器で襲撃する描写が再度用いられている。なんともバイオレンスな内容だが、日本移民の歴史に触れる好著といえそうだ。
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二十九日夜、サンパウロ市南部で日系青年団体メンバーの車が二人組の強盗に強奪される事件が起きた。この日は毎週恒例のフットサルの日。競技場には他のスポーツを楽しむ人たちもいたようだが、そんなことはおかまいなしに二人組は銃を突きつけ、車の鍵を奪って逃走したという。話を聞いた知人によれば、盗まれた車が最初から狙われており、競技場まで尾行されていたようだ。
大耳小耳
2006年7月28日付け