【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】携帯パソコンとして需要が急増した、ラップトップ(ノートブック)型パソコンを狙った犯罪組織の暗躍で、当局は警戒を強めてきたが、サンパウロ市内で相次ぐ強盗事件が発生したことで、改めて深刻さが浮彫りにされている。 保険会社のポルト・セグロ社では二万件のラップトップ盗難契約を結んでいるが、昨年だけでその一二%に相当する二四〇〇台が盗難にあったという。
犯罪組織はラップトップを闇市場で売りさばくのはもちろんのことだが、持ち主に法外な値段をふっかけて売却するのが大きな狙いで、これが妙味のある儲けにつながる。ラップトップのハードディスクなどに重要なデータが記録されているからで、持ち主は機器本体よりも、データを取戻すために多額の身代金(?)に応じる。
これまで組織は空港などで、商談や会議に訪れた人らのラップトップを狙って尾行し、車から降りたところを襲うのが常套手段だった。しかし警備が強化されたことで、ホテルなどを犯行場所とするようになった。
空港からタクシーで乗りつけた訪問者のラップトップを強奪したり、チェックインやロビーで談笑しているところを容赦なく襲う手口に変更している。犯行現場は都心のホテル街のほか、ジャルジンス、ブルックリン、ヴィラ・オリンピア、モエマの高級住宅街にも広まっている。
またビジネスマンもラップトップを携帯していることから、街角の信号待ちや事務所への出入口で被害にあうことが多い。ここでラップトップを渡すのを拒否して強盗犯にピストルで撃たれた人もいる。
今回犯罪が浮彫りになったのは、パナンロサ前ボゴタ(コロンビア)市長一行がホテルで被害にあったことにある。同一行はラテンアメリカ環境会議でサンパウロ市を訪れ、代表団の一人が空港からのタクシーを降りた所を三人組にピストルを突きつけられ、ラップトップと所持品を奪われた。同市長もチェックインの際に同様の被害を受けた。犯人らは明らかにラップトップを狙って侵入してきたという。
世界最大の暗黒都市といわれたボゴタ市長を務めただけあって平然としていたが、ピストルを突きつけられて物を奪われたのは生まれて初めてだと苦笑している。カサビサンパウロ市長は「サンパウロ市の恥」として不快感をあらわにしている。
保安当局では、ラップトップと判別できないように、ケースを工夫すること、自家用車ではトランクに入れること、タクシーでは座席に置かないことなどの注意を呼びかけている。
ノートパソコンの強奪増加=昨年だけで2400台=「サンパウロ市の恥」とカサビ市長
2006年7月29日付け