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今年も充実の南米ツアー=井上祐見さん24日に帰国=小山さん「ぜひ08年に紅白へ」

2006年8月1日付け

 今年も一カ月間南米ツアーを行った演歌系歌手、井上祐見さん(30、愛知県出身)は帰国当日の七月二十四日に来社し、充実感たっぷりにコロニアへの別れのメッセージを語った。
 同日、井上さんはサンパウロ日伯援護協会本部を訪問し、今回の南米公演中に売ったCD約二百五十枚の売り上げの一部、二百レアルを寄付、酒井清一会長に手渡した。
 今回のツアーでは、援協傘下のサントス厚生ホーム、カンポスさくらホーム、スザノ・イッペランジャホームの各老人ホーム、特別養護老人施設あけぼのホーム、社会復帰センターやすらぎホームの各施設を訪問、入居者のために慰問公演。
 各ホームとも手拍子を取って入居者の中に入って熱唱、演歌やリズミカルなポップスなどで楽しいひと時を過ごした。
 酒井会長は「援協の全部の高齢者施設とやすらぎホームを慰問して下さいましてありがとうございました。入居者の方はみんな喜んでおられましたので、また来年、来られた時にも素晴らしい歌を聞かせて下さい」とお礼を述べた。
 このCDは、井上祐見南米ファンクラブ世話人の小山昭朗さん(電話=11・3277・5155)が許可を得て、こちらで自主制作したもの。
 一般向けの「演歌編」と若者向けの「ポップス編」の二種類があり、それぞれにオリジナル曲の「Sou Japonesa」と「あなたに逢えてよかった」が共通して収録されている。値段は二十レアル。歌付きと伴奏のみのカラオケ版をおのおの六曲ずつ収録したものもある。
 小山さんは「祐見ちゃんは八年間も毎年、ボランティアで南米公演をしてくれた。みんなで応援し二〇〇八年のNHK紅白歌合戦で『Sou Japonesa』を歌ってもらいましょう」と力強くこぶしを振るう。
 〇三年の戦後移住開始五十周年のキャンペーンソングだった同曲。「あの式典で聞いた時、涙が出ました。その恩返しだとおもってファンクラブをはじめました」。現在の会員は三十五人ほどだがアルゼンチン、パラグアイにも輪が広がっているという。
 今回のツアーで最も記憶に残ったのは、県連の日本祭りだったという。「Sou Japonesa」を歌ったときの反応が違った。中嶋年張マネージャーは「曲名をアナウンスしただけで拍手が沸いたんですよ。こんなことは初めてです」と興奮気味に振りかえった。
 この曲は移民のために作詞作曲した、当地でしか歌わないオリジナル曲。年とともに歌い込み、最も想いがこもった曲だ。来場者が曲名を憶えたのは、毎年の公演の積み重ね以外の何物でもない。
 今回、ウルグアイ公演では初めてタンゴと競演した。井上の歌う「熊野旅情」に合わせてタンゴダンサー四人が踊った。演歌とタンゴ。「世界初かも」と中嶋マネージャー。井上さんも「来年はサンバと競演したい」と笑った。
 初めて公演した八年前、まだ二十二歳だった。今では非日系の前でも堂々と披露する余裕がでてきたという。〃コロニアが育てた歌手〃は来年、どんな顔を見せてくれるだろうか。