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製品の価格調整を検討=加工業の34%が=稼働率26年ぶり記録更新=雇用、財務体質も改善

2006年8月2日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙一日】ジェトゥーリオ・ヴァルガス財団は三十一日、加工業の三四%が第3・四半期に製品の価格調整を計画中であると発表した。生産設備の稼働率が一九八〇年以来最高の平均八四・九%に達しており、稼動は限界状況だと同業界はいう。加工業界は、経済の安定によりライバル企業の進出おびただしく、薄利多売のフル操業だ。稼働率の高さは投資の手応えを感じさせ、政府の介入政策の危険性がないことと、経済危機の可能性も遠のいたためとされる。
 価格調整とは、インフレのランプが点ったということ。総合物価指数(IGP)で昨年同期比二八%を、三四%に引き上げる考えのようだ。前四半期の調整が控え目であったため、第3・四半期で是正する。解雇率は昨年同月比一五%から一三%に低下。雇用がやや上向きなのに、税関ストや衛生局職員ストで資材供給状況は二七%から一六%へ低下した。
 稼働率の高さには、技術革新の要素も含まれる。企業家が生産設備の拡張を望めば、容易に可能であることを示唆している。稼働率が最も高いのは、セルローズの九三・六%や金属の九三・四%。流れで見るなら過去十一カ月間、二〇〇三年一月以来連続で平均以上の稼働率を保った。
 加工業の営業益は、商業とサービスを追い越して第1・四半期で初めて三年越しの黒字になった。ドル通貨の下落により、ドル建て債務を決済し、財政体質が改善したためとみられる。
 工業と商業、サービス業三部門の決算書を見ると、第1・四半期における工業の純益が売上げの一一%となっている。この利益率にペトロブラスは例外として含めない。サービス業は九・六%、商業は二・三%。三部門の平均は、八・五%であった。
 二〇〇五年第1・四半期の三部門の平均は七・七%。その前年同期は七%。企業は財務体質の改善に努めていることが伺える。財政的インパクトは、企業にとって好循環を起こしている。製紙セルローズの利益率は二二・八%、金属は一九・三%と我が世の春であった。
 ドル建て債務の決済は、為替差損による痛手を癒して余りある。金属工業などは、債務決済のほかに石炭やコークスなどの輸入資材が割安になり、生産管理が有利になった。パルプのアラクルースは製品の九八%を輸出する。第1・四半期の営業益が三億四七九〇万レアル、前四半期比で九六%増。前年同期比で、七三%増の成長振りである。
 パルプと金属は、国際競争力で卓越している。ウジミナスはドル安の波に乗って二〇〇五年に一〇億ドルの債務を決済し、肩の荷を降ろした。反面、悪いのは繊維だ。輸出が打撃を受け、国内は中国製品の洪水で浸水し惨たんたる有様である。営業益はマイナス六・五%と青息吐息である。
 政府は零細企業の救済で、個人ローン政策を打ち出した。現在は銀行の受け付け基準を草案中。目的は金融コストの削減にある。これはメキシコで成功したローン・システムを取り入れたもので、一般労働者の給料を先取りし、消費市場を活性化させる。