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従業員年金基金救済へ=ペトロブラス=93億レアルを投入=公社向け投資の65%に相当=問題多いブラジル年金制度

2006年8月3日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】ペトロブラス石油公団は一日、累積赤字で経営不振にあるペトロブラス従業員の年金基金(PETROS)へ九三億レアルを投じ、基金の起死回生を図ることを決定した。同公団は石油労組統一連盟(FUP)との間で、石油精製所三カ所またはプラットフォーム四基の建設が可能な資金を、PETROSの債務決済に当てる合意書に署名した。PETROSは三十年も赤字経営を続け、裁判所から引導を渡されていた。ペトロブラスのPETROS救済計画は、年金の調整も含めて同公団の従業員九万五〇〇〇人によって表決を行う。
 ペトロブラスのガブリエリ総裁は、PETROSの更生計画が二年前から検討され、九三億レアルの資金投入で窮地を脱出できると述べた。裁判所の執行期限は八月三十一日である。裁判所へ提訴されたPETROS関係の控訴は、全て解決となる見込みだ。
 この九三億レアルのペトロブラスによる充電は、PETROSに対する債権として計上され、基金から分割決済で償却する。この資金は連邦政府の二〇〇六年度公社向け公共投資の六五%に相当する。
 ペトロブラスは七月、接着剤の名目でPETROSへ送金をした。接着剤とはペトロブラスが希望退職者を募り、合意した従業員へ法令による解約精算書の他に一人当たり一万五〇〇〇レアル以下の退職金を支給というもの。この接着剤は合計で一四億二五〇〇万レアルとなった。
 希望退職者の募集は、経営難のPETROS負担を軽くする年金調整法変更による損失分を退職金で補ったもの。残留従業員は指数による独自調整システムを失い、IPCA(広範囲消費者物価指数)による一律調整に組み込まれる。
 年金調整法の変更は、労組や基金加入者の承諾を得なかった。労組は古参定年退職者の年金調整や一九七九年以前に入社した高齢従業員の処遇など長年の問題が解決されると黙認した。しかし、基金加入者協会は不満を訴える構えだ。
 ペトロブラスは現在、発行株の五〇%をニューヨーク株式市場に上場している。PETROSへ充電した九三億レアルは、株の国際評価とペトロブラスの格付けで問題になる。ランクで、優良株から低リスク株へ落とされるからだ。
 PETROSは一九七〇年に創立され、理想の年金計画を打ち上げた。資金管理は健全で、定年時に受け取る年金額も一目瞭然であった。しかし、理想の年金計画が狂い始めた。それで知らない間に調整法を変更したのだ。
 ブラジルの年金制度は、基本的な欠陥があるという。しかし、有識者は指摘しないし、年金の専門家は遠からず座礁することが分からないらしい。年金の調整を巡って与野党は、水掛け論を弄んでいる。野党は高見の見物だし、ルーラ大統領は最低賃金の年金生活者の調整も拒否した。
 大部分を占める最賃の年金生活者への調整拒否は、選挙年に反響甚大だ。野党の嘲笑で怒り心頭に発したルーラ大統領は、「上げたければ、いくらでも上げて来年度予算に計上しろ。そのカネはどこから調達するのか、いってみろ」と食ってかかった。

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