『自閉症』児の教育に対する支援の輪が、サンパウロ市でも着実な広がりを見せている。去る七月二十九日と三十日、サンパウロ市の東洋人街で開催された第二十八回サンパウロ仙台七夕祭り会場に自閉症学級支援グループが登場した。
『自閉症』(AUTISTA)は、生まれる子供千人のうち、五人から十五人が該当する、と言われている先天性の症状を指す。両親の教育レベルや経済状況に関係なく普遍的に生じる。症状によって差異はあるものの、教育によって九五%程度まで正常に戻り、社会復帰が可能だという指摘もある。
東京都三鷹市にある武蔵野東学園が開発した「生活療法」が北米や南米(ウルグアイ)でも成果を挙げている。この療法の基本は集団教育で体力・心・知力を健常児と同じレベルに最大限近づけることにある。日本、北米、ウルグアイで豊富な実践経験を持つ、生活療法の第一人者と呼ばれている三枝たか子さんが今月下旬に来聖する。
去る二〇〇三年暮れにJICA(国際協力機構)サンパウロ支所の主催で、サンパウロ市で開催された三枝たか子講演会(本紙・〇三年十二月二十三日報道)に出席した、自ら自閉症児を持つ矢野高行さんらがすぐに行動を開始し、南米において自閉症児教育で先行していたウルグアイにあるモンテビデオ・ヒガシ学校と交流を始めた。
この行動に共鳴したサンパウロ援護協会副会長の菊地義治さんが応援団長“格”となって去る四月一日、サンパウロ市で自閉症学級が開講した(本紙・四月六日報道)。日系主導によるブラジルでの第一歩だ。
七夕祭り会場の支援コーナーでは日伯友好病院の医師、援協の役員や職員と家族、日系企業やNGO関係者ら十数名がボランティアとして活動した。岩手県人会と秋田県人会が、それぞれが誇る銘酒の〃南部美人〃と〃高清水〃を奉仕価格で協賛した。冬型の陽気に誘われ、両銘柄とも残すことなく愛飲者の胃袋におさまった。
自閉症に対する社会の認識はまだまだ低いのが現実だ。支援グループは、六日、やすらぎホームで行われる第二十八回つつじ祭りの会場でもコーナーを出す。餅つきで雰囲気を盛り上げる計画だ。
広がる自閉症児=教育への支援=サンパウロ市の七夕祭りでも広報
2006年8月3日付け