【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】労働者党(PT)とブラジル民主社会党(PSDB)、自由前線党(PFL)は二日、上院法制委員会に集まり、二〇一〇年以後、大統領と州知事、市長の再選を認めないことで合意した。合意案は上院へ回され、可決されれば下院で審議される。大統領などの再選は一九九七年、カルドーゾ前大統領の第一期政権で承認された。再選立案者の一人は、当時下院議長を務め、同案を承認に導いたルイス・E・マガリャンエス下議(PFL)であった。一次表決は同下議が采配を振るい、二次はテメル下議が議長を務めた。そして賛成三六九票、反対一一一票で可決した。
上院法制委員会は珍しく超党派会議となり、一〇年から大統領や州知事、市長の任期は四年だけで終わり、再選は終焉で合意した。奇妙なのは犬猿の仲で融通性に乏しい与野党が、〇六年の大統領選をまじかに控える中、認識が一致したことだ。かつて絶対多数で可決した再選案は、いまや各党の関心が低い。
例外はアウキミン候補だけらしい。再選の是非を語るには、時期尚早であるという。同候補は、国会に綿密な再選規制を設けるよう提案した。現職候補が政府機関を選挙運動へ不正利用し、公的資金による買収行為を弄ぶのを取り締まるべきだと述べた。
PTの思惑は、ルーラ大統領の再選を最後とするもの。もしもアウキミン候補が大統領に当選しても、再選のチャンスはなくなる。もしルーラ候補が当選すれば二期続投になる。二期続投後のPT政権継続は、ほとんど困難とされる。
PSDBは、再選の終焉が野心家の血圧を下げるという。党は紳士協定で結束する。それで漁夫の利を得るのはアウキミン候補とみられる。同候補が大統領に当選しても、一〇年は別候補に黙ってチャンスを譲ることになる。アウキミン候補の湯煎式選挙運動は駄馬のようで、党内では不評らしい。一〇年の出馬候補はセーラ氏かネーヴェス氏とみられ、党内でも異論はないようだ。
ネーヴェス・ミナス・ジェライス州知事は、国会が今再選を審議するのは時期に叶うと述べた。ただ一〇年ではなく二〇〇七年以後とすれば、アウキミン大統領が誕生した場合、求心力増強になるという。第一期だけで政権基盤を築くのは、一年生大統領には難しいというのが同知事の見方だ。
話は遡るが、〇六年の大統領選にPSDBから三人が食指を動かした。セーラ氏はアウキミン候補が〇六年に当選したら、一〇年はセーラの番でネーヴェス氏と合意した。しかし、セーラ氏は既に再選終焉の手を打っていた。アウキミン政権は一期だけと決めてから、同候補の支持率が回復した。
選挙高等裁のメーロ長官は、再選が国民に候補者と施政者を混同させ、不都合だという。両方を兼ねると政治そっちのけで選挙運動に執心するため、越権行為や不正行為の原因になる。ルーラ大統領も大統領なのか大統領候補なのか分からないといった。再選は公正な選挙の妨げであり、民主政治の病気だとした。
大統領の再選は認めない=2010年以後=州知事と市長も同じく=珍しく各党の思惑一致
2006年8月4日付け