トラック事故は人的ミス=無謀運転や居眠り運転=高速道死亡率は世界ダントツ
2006年8月4日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】国道や州道などの高速道路での貨物トラックによる交通事故の原因は、スピードの出し過ぎなどの人的ミスが最大であることが調査で明らかになった。
リオデジャネイロ州連邦大学の研究グループが過去の交通事故の原因を調査したもので、全国で初の貨物トラック事故白書。この中で世界の高速道路での死亡率はブラジルがダントツとなっており、アメリカの九倍になっていることも指摘、大規模交通事故のほとんどにトラックが関与していると報告している。
トラック事故の背景に運転手の過労があり、これに対し法令で規制する動きが出ている。いっぽうで、トラック運転手の中には、サンデードライバー(休日にしかハンドルを握らない素人運転手)が安易に高速道路に出てマナーを守らないことが事故につながると指摘している。
白書によると、事故は悪天候で整備が悪い道路で起こると思いがちだが、実際はこの逆で、好天の時が八一%に上り、道路状態が原因は四七%に過ぎない。また車体やエンジン不備はわずかに一一%に過ぎず、六六%は人的不注意ミスだという。
人的ミスの内訳は無謀運転が四三%、スピード出し過ぎが一三%、疲労運転(居眠り)が一〇%、飲酒運転が一%、他の車の事故の巻添えが三三%となっている。事故は落下が四七%、衝突が二七%、接触が一五%、転覆が一〇%、火災が二%となっている。
インフラ整備の欠陥では急カーブが二〇%、悪舗装が一五%、スリップが七%、標示不備が二%となっている。研究グループではとくに標示の完備が肝要で、これにともなう厳重な取締りが必要だとしている。
いっぽうで、高速道路での一〇〇〇キロ当たりの交通事故死でブラジルは六五・七人と世界ランキングダントツで、四位のアメリカ六・五人のほぼ九倍になっている。
アメリカ国内の高速が全長六四〇万キロに対し、ブラジルは一七〇万キロであり、これで比較すると死亡率は驚異的に高い。ランキングでは二位がドイツ(一〇・五人)で以下、イタリア(一〇・一人)、日本(八・二人)となっている。
最も事故が多発するのはが国道BR116号線(サンパウロ―パラナ州)で二三%、次いでBR101(リオ・グランデ・ド・スル―リオ・グランデ・ド・ノルテ州)の一七%。
研究グループによると、トラック運転手は貨物輸送で歩合制が多く、そのため過労を知っていてもハンドルを握ることで疲労が重なり、事故に繋がるとみている。また時間内に配達するとボーナス支給する輸送会社があり、これがスピード出し過ぎの原因になっていると指摘している。