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州高官ぐるみで公金横領=ロンドニア州=3人の身柄拘束=連警、政府の行政介入要請=1人除き州議全員が関与

2006年8月8日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙七日】連邦警察と検察庁は六日、三権の高官ぐるみで公金横領が恒常化しているロンドニア州へ、連邦政府による行政介入を求めた。連警の要請趣旨は、州行政の正常化である。行政介入は、州高等裁のシャーヴェス裁判長や同州議会のオリヴェイラ議長、同州検察局のヴィタッシ長官の拘束に続き、州議二四人のうち二三人の議員権はく奪を要求した。州高官三人は四日、身柄を拘束され、ブラジリアの連警へ移送された。これまでに判決のねつ造や資金洗浄で七〇〇〇万レアルの公金横領が発覚している。
 犯罪捜査の内偵は一年前から行われた。ロンドニア州政府ぐるみの犯罪は、三年前から始まったとみられる。不正行為で摘発されたのは二三件。主犯はカルロンこと、オリヴェイラ州議会議長らしい。次期州知事選で副知事に押されたラモス前州官房長官も、身柄を拘束された。
 同州三権の要人は拘束後、直ちに人身保護令の適用を申請した。しかし、最高裁のカルメン・A・ロッシャ判事により棄却された。連警での事情聴取の際、手錠をはめるのだけは免れた。同事件ではさらに高官関与者二十人が拘束された。
 ロンドニア州は、州行政機構の中に汚職や公金横領、職権乱用、判決取引、違法送金システムが組織的に折り込まれていた。今後の捜査により、州高官らが芋づる式に引き出されるようだ。連警ロンドニア支署のメスキッタ署長は七日、ラセルダ連警長官と打ち合わせを行う。
 連警は秘密裏に捜査を行っていたが、テレビ局グローボが州議によるカッソール知事恐喝の現場を実況した。ここから事件は明るみに出た。州議会は司法官や検察官、検事官の協力を取り付け、返礼にお手盛り案を承認した。検察局は州議の犯罪を不起訴とし、マフィアのメンバーを全員釈放した。
 同州政府の綱紀粛正を目論むドミノ作戦は、州議一人を除く全員と裁判官多数、州高等裁判事、検察官、検事、州長官らを共謀のかどで暴くことになる。次期州知事に再選のため立候補したカソール現知事(社会大衆党=PPS)だけは、拘束から仮釈放され、疑惑の犠牲者だと自己弁護をしている。
 同州への行政介入がルーラ大統領によって許可されれば、上院も州ぐるみ汚職を審議するという。州議会は、ほぼ全員が関与する異例の犯罪シンジケートで、議長が指揮を採っていた。ボスの右腕として州議会のパリトット事務局長とリーマ人事課長が結託、大量の幽霊職員の給与明細を作成し、毎月一〇〇万レアルを着服した。
 幽霊職員やラランジャ(名義賃貸人)職員は州から給料の前借融資を受け、議会経費で返済した。横領した州予算は、州議の口座や州議の関係企業、州議補佐、親族の銀行口座へ振り込まれた。
 連警は裁判所の許可を得て、州議会議長の周囲に盗聴設備を仕掛けた。州議会が承認したお手盛り案の財源が保留されたうえ、資産は差し押さえられた。議長は、内通したとして、メンバーを裏切り者呼ばりする場面もあった。