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借金で首が絞まる消費者=金融機関の融資が急増=3人に1人は返済不能に

2006年8月8日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙六日】金融機関の融資やクレジットの加熱による借金の急増に引きかえ、申し訳程度の所得増加のコントラストが消費経済の首を締め付けている。
 サンパウロ市で開催された金融セミナーでマンテガ財務相が明らかにしたところによると、二〇〇三年の国民総所得が四七四二億レアルだったのに対し、今年は五五五〇億レアルと三年間でわずか一七%の増加にしか至っていない。いっぽうで個人を対象とした銀行などの融資額は九八五億レアルから一七七七億レアルへと八〇%増となった(数値は広範囲消費者物価指数で価値修正され、現在値に置き換えられている)。
 金融専門家筋によると、国民所得の増加は新規雇用によるもので、既存のサラリーマンを含む労働者一般の収入は横ばい、あるいは減収になっており、押しなべて目減りとなっているのが現状だという。さらに今年は最低賃金が大幅に上がったのも一因で、来年は同レベルの上昇は期待できず、またドル安で輸出産業が伸び悩むことで新規雇用も減少することから、国民所得の増加は望めないとみている。
 いっぽうで借金がかさむと返済不能が増えるのは道理で、SERASAのデータによると、〇四年六月から今年六月までの不払いは三九・三%の高率に上った。つまり借金した三人に一人は払えなかった。このデータはシェッケ・エスペシアル、クレジットカード、約束手形、商店の月賦払いなどすべてのクレジットが含まれている。
 不払いは年々増加しており、〇一年を一〇〇とすると、〇二年は一〇七・四、〇三年は一一四・六、〇四年は一二三・六、〇五年は一四二・三、〇六年は一五九・七となっている。
 融資が急増したのは返済を銀行口座から引き落とすコンサイニー・クレジットのシステムが誕生したことによるもので、銀行のもうけ頭の一つに発展している。この融資の大口客先は年金受給者で、医薬品の購入や家屋修理に当てている。サラリーマンは高性能の家電やコンピューターの消費が多い。
 このシステムでも不払いが生じる。年金受給者は高齢が多く、ポックリ死亡する率が高い。一般労働者も家計が苦しくなると、銀行預金口座の残高がなくなって引き落とし不可能となる。結局銀行側は不良債権として処理せざるを得ない。銀行融資金利や商店の長期月賦の価格が、基本金利が引き下げられているにもかかわらず高騰を保っているのは、不払いのリスクを回避すべく、保険料が加味されていることに他ならない。