2006年8月8日付け
サンパウロに春の訪れを告げるカルモ桜祭り(カルモ公園桜イペー植樹委員会主催)が六日、聖東イタケーラ区のカルモ公園で開かれ、大勢の人出でにぎわった。今年で二十八回目。四百本の雪割桜は満開の時期を多少過ぎていたが、それでも見事な花を咲かせていた。当日はカサビサンパウロ市長や西林万寿夫在聖総領事も来場、会場では地域文協による屋台や芸能なども披露された。好天にも恵まれ、訪れた人は桜の花びらが舞い散る中、穏やかな日曜日の午後を過ごしていた。
「桜の下でお弁当、いいですよね」。
二十八回目を迎えたカルモ桜祭り。昨年も訪れたという二世の婦人(サンパウロ市在住)は、会場への道すがら話していた。
一九七八年にブラジル日本移民七十周年を記念して最初の八重桜が植えられてから二十八年。いまではブラジル各地で開かれるようになった桜祭りの原点ともいえるカルモの桜祭りは、今年も健在だった。
開会式にはジルベルト・カサビサンパウロ市長や西林万寿夫在聖総領事夫妻、野末雅彦JICA聖支所次長なども来場して桜の苗を植樹。
公園内の池のそばにある桜園の外には、桜の管理に携わる聖東地区の十五日系団体がヤキソバやシュラスコ、うどんなどの屋台を出店。池のほとりに設けられた特設舞台では、地元文協による踊りや和太鼓演奏。ラジオ体操や鳥取郷土芸能の傘踊りなども披露された。桜園内では、雪割やヒマラヤ桜の苗も販売された。
地元聖東地区の文協が管理に携わるカルモ公園の桜並木。年に一度の桜祭りでの純益が、会の一年間の活動を支えている。
八重桜からはじまった同公園の桜は、沖縄、ヒマラヤ、雪割と種類を増やし、今では約千五百本を数える。
主催のカルモ公園桜・イペー植樹委員会では祭りに合わせて、四百本の雪割桜の開花をコントロール。先週以来の雨と寒気のため開花が早まり、葉の目立つものもあったが、それでも見事な桜のトンネルができていた。園内のそこここで、訪れた人が昼食や、記念撮影を楽しむ姿が見られた。
桜イペー植樹委員会の矢野ペードロ委員長は「たくさんの人に来てもらって幸せ。先祖と『桜の神様』のおかげです」と満足そうな様子。「地域の文協が支えてくれるから祭りができる」と語る同委員長。「これからも一世の遺産である桜を日本の文化として守っていきたい」と話す。
二十八年前の最初の植樹からカルモの桜を見つづけてきた、前委員長の西谷博さんも会場を訪れていた。四年前に勇退したが、今も月に一、二回手入れのため公園を訪れているという。「桜と踊り。皆が集まって喜ぶことは、すばらしいことだと思いますよ」。この日も真剣な表情で、自身が普及につとめた傘踊りの演技を見つめていた。
好天に恵まれた今年の桜祭り。最後は来場者も加わって盆踊りの輪がつながった。サンパウロに春の訪れを告げる陽気の下、会場は公園内の人出も手伝って夕方まで大勢の人でにぎわった。