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PCCが3度目の襲撃=サンパウロ州=検察局など中心に=メンバー2人射殺、12人逮捕=保安長官は陸軍派遣要請

2006年8月9日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】犯罪組織州都第一コマンド(PCC)は七日、州内十八都市で三回目の波状攻撃を決行した。今回の襲撃目標は特に三カ所、州検察局と税務署、組織犯罪捜査課を集中的に狙ったとみられる。陽動的に路線バス二二台や銀行を三四支店、ガソリン・ポスト一二か所、スーパー、自動車代理店、市警派出所など七八カ所をも襲撃。PCCメンバー二人を射殺、一二人を逮捕した。レンボサンパウロ州知事は陸軍の出動を不要としたが、アブレウサンパウロ州保安長官が四五〇〇人の陸軍陸戦部隊の派遣を要請。同部隊は、PCC支配下にある組織の資金源地域へ駐屯させる意向だ。
 サンパウロ州知事の公式要請があり次第、四八時間以内に実戦の特殊訓練を受けた陸戦隊一万人を急きょ派遣すると、バストス法相が声明を発表した。サンパウロ州内全ての刑務所は、呼応暴動に備えて非常時体制に入った。しかし、レンボ知事は公式要請について口を閉ざしている。
 法相は始め、即時二〇〇〇人の派遣を通知した。サンパウロ州保安長官は、形式的なやりとりだけなら無用と断った。内容のある応援なら、歓迎という。法相が派遣要員は掻き集めではなく、実戦訓練を受けた特殊部隊一万人だと念を押した。連邦令によれば、知事の正式要請なく陸軍の州内への立ち入りは禁じられている。
 マスコミの要請は勿論、保安長官の要請にも軍隊が動いてはならない。連邦共和国制度により軍隊の出動は、知事の要請如何にかかっている。しかし、PCCの襲撃は史上初めての体験である。軍隊が出動した場合、誰の指揮下に動くのか。命令系統を一本化する必要がある。
 軍令により当然、PCC鎮圧に派遣された陸戦部隊は、南東軍師団長の配下に編入される。組織内組織ができるが、州は甘受する必要がある。でないと子供の駄々になる。ガロチーニョ前リオデジャネイロ州知事が、陸軍の派遣を要請して、リオ州保安長官が指揮を執ると粘った。これは軍令でご法度だ。
 軍隊の派遣は、要請とか応援という性質ではない。国家治安のため軍の規律下に、州政府は組み込まれる。PCCは組織犯罪課の専用車両五台を焼き払って足を奪い、サンパウロ州治安当局に挑戦したのだ。襲撃の標的は、九三カ所であった。
 作戦要領と襲撃司令は、今回も刑務所内から発令された。事件はPCC体制の定期訓練らしい。襲撃は単なる威嚇行為であって、目的遂行ではない。州政府は、パトカー四三三台の贈呈式典をパカエンブー競技場で行った。PCCによる式典への挨拶だと、当事者はいう。特別騒ぐことではないと知事は述べた。
 アブレウ長官は、陸軍の派遣を要請したことを認めた。連邦政府の応援は口先だけで、うとましいから本当に派遣する気なら送れと試したようだ。法相は七月、盗聴器の提供を約束したがナシのつぶてだった。政府の応援は毎度、口先だけなので怒り心頭に発すると長官が憤慨した。
 連邦政府の空手形は、まだある。サンパウロ州に拘束されている連邦関係の受刑者一四万四〇〇〇人の提訴見直しで、弁護士費用一〇〇万レアルの交付を約束した。声明を発表した舌先が乾かぬうちに、約束を忘れる。下らない所へ資金は交付されるが、肝心の所には来ないらしい。