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年金生活者と政府の30年戦争=累積赤字を前に=大統領、選挙の年に調整抑制=発端は積立累積制度拒否

2006年8月9日付け

 【ヴェージャ誌一九六七号】ルーラ大統領は大統領選挙を控える二〇〇六年、年金生活者の六二%に対し一六%の調整を拒んだ。六二%とは、最低賃金の年金で生活する高齢者たちである。これまで政府機関を選挙の道具に使うと批判された大統領が、年金調整の拒否で道具を反対目的に使ったのだ。年金問題とはこうである。社会保障制度とは、社会保障院と呼ばれる政府機関から資金供与を受けて年金を払っている。同制度は新世代が年金掛け金を払い込んで、旧世代が受け取る仕組みになっている。
 いま年金を受け取っている旧世代は、過去に積立累積システムで年金を掛けることを拒んだ。この積立累積システムとは、各世代が自分の受け取る年金基金を自分で積み立てて、次世代に資金的負担を掛けないというものであった。年金問題は、ここからボタンの掛け違いが始まった。この時積立累積システムで掛けていたら、年金基金は現在七兆レアルになっていた。
 タラタラの話になるが、七兆レアルの基金があったら一六%の年金調整を行い、社会保障院の累積赤字もなかった。そこそこの経済成長率を続け高金利政策もなく雇用を創出し、PCC(州都第一コマンド)に怯えることもない。同基金は、次世代に利他主義と連帯精神を育んだ。
 現行の社会保障制度は、最低賃金を調整する度に政府の丸々負担となる。そのために国債を発行し、高金利で資金調達するシステムである。ルーラ大統領の拒絶で、年金生活者と政府の確執は続く。まずは三十年戦争になる。
 定年を迎えた人が、若かったときに自分で積立累積していなかった年金の供与を求めている。ブラジルの有識者やインテリは頭が悪くて、こうなることに気付かなかったのか、警鐘を鳴らさなかったのかだ。
 社会保障院が雪だるまのような累積赤字を抱えてしまった現在、積立累積システムを持ち出すことはできない。また現役の勤労者は一生同じ水準のサラリーで満足しないし、定期昇給と出来高給、能率給を要求する。それは、勤労者が品質向上と能率アップに努力した見返りだから。
 政府は年金の一律五%調整を容認した。しかし、年金生活者はインフレ調整の他に、特別手当を含んだ一六・六七%を要求した。年金生活者の中には完全に定年退職した者もいれば、定年後も勤続し、諸手当を受け取る特権階級もいる。
 定年前にもらった特別手当は、定年と同時にカットされる。しかし、定年後も勤続する人たちは、定期昇給のほかに手当てや新研究成果や技術革新の賞与も調整される。不可解なのは、現職者が定年退職者の年金調整を要求することだ。年金が調整されれば、現職者のベアが目減りすることを知らないらしい。
 公務員年金の出来高査定は、過去の掛け金から割り出す。公務員年金は過去の掛け金がベースになる。民間の年金基金で定年になると、年金の調整財源がない。転職するときは、年金の財源がどうなっているか確かめたほうがよい。
 現行の年金制度は、現在掛け金を払っている人たちが定年になるとき、年金が貰えるのかハッキリさせたほうがよい。出来高給や能率給で現在受け取っている給料は、定年後は貰えない。基本給が少なく出来高給が大部分を占める勤労者は、要注意である。
 〇七年に定年退職する勤労者は、同年からインフレ率で調整した最低賃金に準じるが、現役時代の出来高給に準じた年金は貰えない。これは社会保障院の累積赤字対策である。しかし、現役の勤労者には出来高給と能率給が従来通り支給される。国家公務員なら定年後、特別手当はなくなるから現役時代のように優遇されないし、次世代の定年退職者は冷遇されることを覚悟すべきだ。

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