サンパウロ州は農地の二〇%を森林として保存するか植林することを義務付ける条例を制定し、レンボ知事が署名した。二〇%には川岸のヤブ林や湿地帯、沼地の林は含まない。植林にしか利用できない農地も一〇〇%可耕地も一律二〇%である。義務条例は地権に明記を要するという。農業生産者連盟(UDR)は、同条例を違法条例として廃案を訴えるらしい。地権に明記するとは、政府に自分の農地を献上することだという農地所有者もいる。明記すると農地評価額も変わる。購入価格は高価なのに、保護地域に指定されると下落する。二〇%を上回る森林がある農地は、余剰分を賃貸することができる。同時に植林業者も多数開設される。農地の大部分が湿地や沼地というところもある。沼地にはウォルサム条約の農地利用制限もある。
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リオ・グランデ・ド・スル州には他国で生産された農産物を、ブラジル国内に収納することを禁じる条例がある。しかし、米の収穫期になると大量の籾が国境隣接都市に持ち込まれる。同州の米地帯には米栽培を止めた農場が多数あり、サイロや精米機が放置されている。栽培面積が多くサイロや機械設備の少ない隣国は、ブラジル側へ加工と保管のため殺到する。ブラジルのサイロに保管された農産物をブラジル国内で販売すると輸入になるが、そんな手続きはしない。ウルグアイ産の米がブラジル産のレッテルを貼られ、サンパウロ州へ大量に出荷される。
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鳥インフルエンザは人的被害があるらしいが、ニューカッスル病は人間に影響がない。しかし、南部地方にニューカッスル病が発生したため、ブラジル産のブロイラーに発注中止が相次いだ。マロッコやウクライナなど四十カ国が、六カ月間の輸入中止を通告した。ニューカッスル病が発生したのは、リオ・グランデ・ド・スル州ヴァーレ・レアル郡。衛生協定では、発生地から半径一〇キロメートルは汚染区域とされる。ロシアの検疫官がやってきたが、牛の口蹄疫が鶏に伝染すると思っている。鶏と牛は体温が異なるのでウイルスも異なる。
アグリビジネス
2006年8月9日付け