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「旅の詩人」=吉増剛造さん来伯=公演や朗読を=ブラジル各地活動中=「縁があり愛情も」

ニッケイ新聞 2006年8月10日付け

 国際交流基金サンパウロ日本文化センター(西田和正所長)の文化人派遣事業として、日本を代表する現代詩人、吉増剛造さん(67)が七日から二十一日の予定で来伯。ブラジリア、パラチ、カンピーナス、サンパウロで日本文学、詩に関するレクチャーや朗読パフォーマンスを行っている。
 吉増さんは東京生まれ。「大陸」と対比させての「島」や「海」に惹きつけられ、日本国内初め、スコットランドやインド、アメリカなどを廻りながら、詩を作成する「旅の詩人」。
 「ブラジルには縁があり、愛情を持っている」という吉増さん。ブラジル人の妻とともに何度も来伯しており、九二年から九四年まではサンパウロ大学客員教授を務めた。ブラジルでの生活から生まれた詩集も出版。ポルトガル語に翻訳されたものもある。
 「ここには不思議な魅力がありますね。動物的ですが初めは、雷雨や稲妻、ガローア、鳥の鳴き方を感じました」。「一口にブラジルというが奥深さがある。リオやサルバドールなど、ブラジル各地の違う色と声が原稿に移ってくるんです。物に書くことでその違いが表れてくるんです」。
 作品は詩にとどまらず、映像や写真にも及ぶ。日本ではこの八月から、吉増さんが奄美大島、沖永良部島沖縄本島など南の島々を歩き、詩が生み出される旅の日々を追った映画「島ノ唄」が上映されており、毎日新聞や朝日新聞など各紙が取り上げた。今回の来伯中にも、リオ―サンパウロ間を車で移動しながら、映像作品の制作を目指す。
 公演予定は以下の通り。【パラチ】八月十一日午後十時「パラチ国際文学祭」野外イベント会場(Praca da Matriz no Centro historico de Parati)、朗読パフォーマンス。【カンピーナス】八月十四日午後五時=CPFLカンピーナス電々公社文化センター(Rua Jorge Figueiredo Correa,1632)、朗読パフォーマンス。【サンパウロ】八月十七日午後七時=アロルド・デ・カンポス記念資料館文化センター(Av.Paulista,37 Paraiso)、朗読パフォーマンス。同日午後八時=国際交流基金サンパウロ日本文化センターホール(Av.Paulista,37 2-ander)、映画上映会と作品解説。八月十九日午後八時=ブラジルシネマテーク(Largo Senador Raul Cardoso, 207, Vila Mariana)、映画上映会と朗読パフォーマンス。八月二十日午後四時=サンパウロ春のブックフェア―(Centro Cultural Sao Paulo, Rua Vergueiro, 1000)、朗読パフォーマンス。
 写真作品の展示は「日本の記録映画の展望」(交流基金主催)の映画上映時間前後に行う。
 ブラジルを題材にした著書には「螺旋歌」、「花火の家の入り口」、「ブラジル日記」がある。ポ語に翻訳されているものは「オシリス、石ノ神(Osiris?O Deus das Pedro)」(現代詩春椿賞)、「朝狂って(Doido na Manha)」。