ニッケイ新聞 2006年8月11日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】家庭内暴力に対する罰則がより厳しくなり、かつ現行犯で逮捕が可能となった。国会での議決を受けてルーラ大統領が裁可したもので、七日に発効した。
これまでは立件までに時間がかかり証拠不十分でウヤムヤに終わるケースが多かったが、今後は現行犯逮捕が可能となり、スピード裁判で四十八時間以内に判決を下すよう義務づけた。
また、従来は軽度の家庭内暴力はセスタ・バジカ(生活必需用品)の罰金、あるいは重度の場合は一年以内の懲役だったが、新法令では、すべて一年ないし最高三年までの懲役刑となる。さらに身体障害者に暴力をふるった場合は三分の一の量刑が加算される。
ルーラ大統領は法令署名に当たり、家庭内暴力は隣人との口論みたいに軽く扱われてきたが、一般の犯罪と同様に刑法を適用すべきだと強調した。さらに男性優位の偏見が家庭内暴力の原因で、これをなくし女性の社会的地位を向上させなければならないと説いた。
いっぽうで新法令をマリア・ダ・ペンニャ・マイア法と名付けた。この女性はセアラ大学の教授だが、過去二回にわたり、前夫に家庭暴力を見舞われ、死の淵をさまよった。一度は銃で射たれ、半身不随となり車椅子生活を強いられた。それ以来、NGO団体で家庭内暴力の防止と撲滅の運動を展開してきた。