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「父の日」で服役者放免=サンパウロ州内1万2千人対象=PCCメンバーは監視強化

ニッケイ新聞 2006年8月12日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十一日及び既報関連】十三日の「父の日」を家族で祝うためにサンパウロ州内の刑務所服役者一万二〇〇〇人が期限付き特赦放免されることで、保安当局は再犯防止に向けて緊張を高めている。
 世界でも稀有な特赦放免は、十一日午前八時から十四日午後五時まで、定められた刑期を全うした囚人を対象に行われる。この制度は母の日などの全国行事に適用されるもので、人道的立場から制定された。しかし刑務所に戻らずにドロンを決め込むのが多数(本紙十一日二面)いることから、刑法の見直しを求める声が挙がっている。
 とくに相次ぐ襲撃事件で当局をかく乱している州都第一コマンド(PCC)のメンバーが父の日に蜂起して騒動を引き起す可能性が高いことから、サンパウロ州検察局は裁判所に対し、少なくともPCCメンバーの放免は禁止するよう要請した。
 サンパウロ市内では特赦の権利を有するPCCメンバー二五人対し、軍警情報局は危険だとして全員に差し止めを要請したが、裁判所は十日、一五人に対して放免を許可した。判事によると、この一五人が騒動を引き起すという確証はなく、差別できないとの見解を示した。残りの一〇人は服役態度や素行が芳しくないとの理由で軍警側の言い分を認め、放免を許可しなかった。
 これに対しサンパウロ州軍警総司令官は「囚人の権利を優先させて、市民の安全の権利を損なうものだ」と怒りをあらわにした上で、事件が起きても裁判所が責任を負う訳ではないと皮肉った。
 いっぽうサンパウロ州全域で一一三人のPCCメンバーが放免リストに載っているが、この内放免された者の数は十日現在、明らかにされていない。
 軍警では防犯対策からすべてのメンバーの情報を全州の軍警警察署に配布し、一人ずつ監視するよう指示した。情報には顔写真、住所および行動範囲、仲間や家族構成、犯罪歴、組織内でのポジション、予想される犯行などが列記されている。
 さらに軍警では州内にいる八〇二人のメンバーをリストアップして、とくにこの期間での監視を強化する。このうち二五〇人は刑期を終えて出所した者で、刑務所内の幹部とのつなぎ役を務めている。
 所内の幹部の携帯電話を盗聴捜査している軍警および陸軍情報部によると、ここにきて電話の交信が急減していることから、特赦放免となるメンバーが幹部の命令を持って出所し、組織に伝えるものとみている。この中には〝父の日襲撃〟の指令書があるとみて、全軍警を召集し、警戒に当たることにしている。