ニッケイ新聞 2006年8月15日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十四日】ブラジルは二〇一〇年まで有望投資対象国として格付が上昇する可能性がある。但し、年三%を超える経済成長率の維持が条件で、そのために次期大統領と新政権は、財政や税制など諸改革を断行しなければならない―。リスク格付会社の大手三社、フィッチ、スタンダード&プア―ズ、ムーディーズのアナリストらがブラジル経済の格付見通しについて評価した。
現在、ブラジルの格付をフィッチとS&PはBB、ムーディーズはBa3と評価。Aランク(有望投資国)に達するまでの道のりは険しいが、「二、三年前にはAランク入りなど思いもよらなかった。経済指標の改善により、今はそれを視野に入れることができる」とムーディーズのレオス氏は述べた。
「カギは財政面。減税に加え、財政赤字を減らすことで金利引き下げが可能となり、経済成長の加速につながるだろう」とS&Pのシネラー氏は分析。フィッチのシエール氏は、「過去十年間のブラジルの経済成長率は平均二%から三%で、今年は三・五%の見通し。ブラジルと同じランクの国の平均は五・八%だ。急成長の実現には中央銀行の独立のほか、労働、税金、年金の制度改革が必要。改革は〇四年以降、進んでいない」とした。
ブラジル経済のプラス面としては、公共部門の対外債務のGDP比低下、インフレ抑制に成功、輸出の急速な拡大、外的ショックに対する抵抗力の増加などを三氏は挙げている。