ニッケイ新聞 2006年8月15日付け
英国からの治安当局が、旅客機テロを目論んでいた容疑者や24人を逮捕した。一味は英国から米に向かう飛行機を爆破し大量殺人を計画していたらしい。しかも9機から10機を液体爆薬で爆発させる計画だったから、もし実行されていればあのNYにも匹敵する大惨事になるところだった。米政府の高官は、アルカイダが関与しているの見方を示しているし、逮捕された者らはパキスタン系の英国人でイスラム過激派に属する。▼3000人以上もの犠牲者を出したNYテロは悲惨の極みだったけれども、民間機をハイジャックし高層ビルに突っ込むという攻撃を予測するのは難しい。この奇抜さがテロのテロたるところだが、今回の英国では液体爆薬を使うところだった。詳しいことは不明ながらニトログリセリンか過酸化物をペットボトルに入れて爆発させる方法さしいのだが、これを空港で事前に発見するのは至難だと専門家は指摘する▼NYの後にバリ島を爆破、ロンドンの地下鉄とテロは続くが、一連の犯行はすべてイスラム原理派に属する。国際テロ組織アルカイダと指導者ビンラディンにとって攻撃の場所は英米に限らない。ここブラジルもだし日本がテロの舞台にされるかもしれないのである。英国の情報機関(M15)は1年前から容疑者やの行動を監視を続けていたそうだが、これを他の国々もできるかは甚だ疑問である▼それにしても、こうした大量殺戮が半ば公然と行われるのが怖い。そんな理屈を付けようとも、何の罪もなく咎もない人を死に追いやる暴挙は許されない。それが宗教的な主張であっても―である。(遯)